【ラーメン】地球の中華そば

  1. (神奈川県/横浜市)
店主の樋上正径氏が「地球の中華そば」をオープンしたのは2014年10月。有名ラーメン店の店長を任されていた樋上氏が独立を志したのは、「ゼロから全部自分で作りたかった」から。その初心を貫き、スープはもちろん、麺は店内で製麺し、具材も自家製にこだわっています。創業時より手間と時間をかけて作ってきた渾身の中華そばが、「東京で一番うまいラーメンを決めよう!」という「Tokyo Ramen of the Year」、通称「TRY」の「2015-2016年度 TRY新人大賞」総合1位に輝いたのは、その賜物でしょう。
今回は、「TRY新人賞 しお部門」でも第1位を受賞した「地球の塩そば」をクローズアップ!
クローズアップメニュー

製 地球の塩そば 1,000円(税込)

塩ダレ、香味油に清湯を注いだスープに、少し細めの自家製麺が美しく沈む。具材は、自家製の醤油ベースの煮豚、塩とスパイスで味付けした鶏ムネのコンフィ、メンマ、フライドエシャロット、白ネギ、貝割れに、彩りきれいな小粒のあられを散らす。
鶏の香りがふわっと立つスープは、あっさりしているが口に含むとしっかりした濃厚な味わい。肉、野菜、魚、乾物のうま味がバランスよく調和している。なめらかな麺はのどごしがいい。
塩ダレ(かえし)には3種類の塩を使用。この塩を溶くためのだしも取っている。
スープは清湯。メインの素材は、青森シャモロックの丸鶏とガラ。それに、阿波尾鶏のガラ、豚ゲンコツ、牛骨の動物系に、セロリ、ねぎの頭、ニンニク、生姜の香味野菜、生のかき、あさり、本枯れ節、煮干しと、多くの素材のうま味が加わる。
香味油は、清湯を作る時にでる鶏、豚、牛の油を使用。麺は国産の強力粉を水でこねた自家製麺。打ち立てがおいしいから、毎朝、当日分を製麺している。
技のポイント1
 
 
 

塩ダレは、7:3で混ぜた海の塩と陸の塩をだしで溶く

樋上氏が学生時代にアルバイトをしたラーメン店で聞いた言葉。「塩は地球の海と陸の比率、7:3が人の体になじむ」との教えが心に残り、使用する塩は、3種類の塩を、海の塩7:陸の塩3の比率で使用している(塩の写真:上は沖縄の海の塩「シママース」、右が岩塩「天外天塩」、左が海の塩「海の精」)。この塩を、生牡蠣、あさり、鶏のムネ肉、牛すじ、干し椎茸を沸騰しない程度の90℃で75分煮出しただしで溶いて、塩ダレは完成。
技のポイント2


素材ごとに必要な温度、時間を考慮。うま味を十分に引き出す清湯

清湯には、鶏、牛、豚、野菜、乾物と多くの素材を使用している。1つの寸胴鍋でうま味を重ねて行くため、素材によって最適な温度、時間を考慮し順番に加える。
まず、青森シャモロックの丸鶏、ガラ、阿波尾鶏のガラ、豚ゲンコツ、牛骨を3時間火にかける。次に、セロリ、ねぎの頭、ニンニク、生姜の香味野菜、生のかき、あさりを入れて1時間。その後。本枯れ節、煮干しを入れて1時間煮出し、最後にスパイスを入れて15分ほどで、清湯が完成。最初から最後まで、沸騰しない程度の火加減で合計5時間超。澄んだ清湯ができあがる。
技のポイント3


香味油は、清湯を作るときに同時にできる油

香味油は、清湯を作るときに寸胴鍋に浮いてくる油を使う。水に動物系の素材を入れてから90分経ったところで、寸胴鍋に浮いた鶏油等を一気にすくう。鶏、豚、牛が一体となった香味油は、メインの青森シャモロックの香りが豊か。
技のポイント4

なめらかな麺の秘訣は、毎朝製麺する自家製麺

麺の小麦粉は、国産の強力粉「春よ恋」と「ゆめちから」をブレンド。かん水はごく少量であるため、ほぼ強力粉と水だけでこねた麺。毎朝その日使う分を製麺し、昼から使用。打ち立てがなめらかさの秘訣。
技のポイント5

どんぶり一杯飲み干した時、塩分摂取量が5g

塩分濃度13.8%の塩ダレを清湯で割ったスープは、どんぶり一杯のスープを飲み干したときの塩分摂取量が5gになるように計算されている。樋上氏の経験則によると、これが、うま味が加わったスープがしょっぱすぎず、物足りなさを感じない味の塩分量で、塩味の基本になっている。
おすすめメニュー1

特製 醤油そば 980円(税込)

醤油の香りと味をしっかり感じる醤油そば。醤油ダレには6種類もの醤油を使用。丸大豆醤油、生醤油、白醤油、たまり醤油などを合わせ、さらに鶏醤も加えている。これらの醤油に、塩ダレを作るときにも使用するだしと合わせ、岩塩で塩味を調整して醤油ダレが完成。香味油、醤油ダレ、清湯で作るスープは、醤油の味が前面に出てくるが、角はとれ、まろやか。たくさんの素材のから出るうま味を合わさり、甘味も感じる一杯。麺は塩そばより少し太めが合う。
おすすめメニュー2

特製 担々そば 850円(税込)
白湯で作る坦々そば。白湯は、メインの徳島の阿波尾鶏のガラに、牛骨、豚足、もみじに、セロリ、人参、玉葱と甘味の出る野菜、本枯れ節、煮干し、サバ節を加えている。かえしは、塩ダレと醤油ダレを4:1で合わせる。スープは、生の白胡麻から作る自家製芝麻醤、自家製ラー油、かえし、白湯を合わせ、麺は、醤油そばと同じ太さの麺を固めに茹でている。具材と調味料は、肉みそ、青ネギ、唐辛子の一種のあじめコショウ(岐阜)、山椒、花椒。麺にとろみをおびた白湯スープがよく絡み、芝麻醤の白胡麻の風味と、濃厚なスープのうま味が広がる。黒胡麻を使用した肉みそを混ぜた際の味の変化を楽しみたい。
  • お店紹介

    店主 樋上 正径 氏

    学生時代のラーメン店でのアルバイトが楽しくて、その想いが心に強く残っていたため、就職したものの28歳で脱サラし、数カ所のラーメン店で修行。35歳までには独立しようと決心し、一昨年の2014年に創業。「あっさり、こってり、辛い。どれかがお客様の好みに合い、再来店してくれるよう味を取りそろえれば、地域に関係なく開業できる」と考え、創業当時から方向性の違う3種のメニューを用意した。
     「ラーメンをゼロから全て自分で作りたい」という樋上氏の創業の想いは、「さらにレベルアップして、お客様に喜んでいただきたい」という願いに繋がり、創業以来、時間を見つけては新しい食材・材料を探して試作することを繰り返してきた。「これとこれを組み合わせたらおいしいそう」と、ひらめきを感じると試し、よいと思えば使う。開業後、1年半の間、常に味のブラッシュアップをしてきた。そうした、樋上氏の想いの結晶ともいえる手間と時間をかけた一杯は徐々に評判となり、今年、「2015-2016年度TRY新人大賞」総合1位受賞という快挙を達成した。
     しかし、これがゴールではない。樋上氏の研究熱心さとひらめきで、さらに地球の中華そばが進化していくことは間違いない。
  • 基本情報

    店名 地球の中華そば
    住所 神奈川県横浜市中区長者町2−5−4 長者町白井ビル夕陽ケ丘ニュースカイマンション101
    電話 045-319-4248
    営業時間

    昼 11:00~15:00
    夜 18:00~21:00(木・日除く)

    定休日

    月曜

    席数

    10席

    主な客層

    近隣の方から遠方の方まで幅広く。男性客が多い。

    1日の客数 130〜160人(昼夜営業時)
    予算の目安 約1,000円
    開業 2014年10月
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
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