一口サイズの揚げ春巻き。ベトナム北部で使われているパラフィンのような極薄のライスペーパーで巻いているのが大きな特徴で、中身は豚挽肉、カニ、みじん切りにしたニンニク、タマネギ、ニンジン、キクラゲを混ぜて塩こしょうで調味したもの。これを、バジル、ミント、パクチーと合わせてサニーレタスで巻き、好みのタレにつけて食べる。春巻きそのものは北部スタイル、たっぷりの野菜を添える提供の仕方は南部スタイルで、南北折衷のオリジナルメニューに仕上がっている。ライスペーパーで包むところまで仕込んだら冷凍。注文を受けるごとに冷凍のまま揚げる。生け花のような盛りつけも素敵だ。
ベトナム料理店「kitchen」がオープンしたのは2002年3月のこと。オーナーシェフの鈴木珠美さんは、日本の料理学校を卒業後、母校で講師を務め、さらに食品会社でメニュー開発に携わり、フードコーディネーターとしても活躍していた。こうした経験のなかでベトナム料理に魅了され、2年間留学。ベトナム南部と北部、それぞれで修業をし、双方の良いところをミックスした自分なりのベトナム料理をつくりあげた。
「タレ類はどちらかというと南部色が強いかも。でも、北部の調味料や料理からヒントを得ていたりもします」と鈴木さん。
同店のメニューには、フエの料理をベースにしたものも比較的多いが、このフエはトナム中部の都市。つまりベトナム中からおいしいものを集めたともいえる。現地で触れた料理や食材、また、日本で食べ歩いたベトナム料理、さらにベトナム以外の国の食べものも、すべてが鈴木さんにインスピレーションを与えている。そんな柔軟な感性が、たとえば「まぜまぜごはん」のような、ここにしかない名物料理を誕生させるのだろう。
店名の「kitchen」には、「私の家のキッチンに来て、気軽においしいベトナム料理を食べてください」というメッセージがこめられている。創意工夫を重ねたオリジナル料理で訪れる人をもてなす鈴木さんのキッチンは、今日も多くの人で賑わっている。
店名 | kitchen |
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住所 |
東京都港区西麻布4-4-12 ニュー西麻布ビル 2F |
電話 | 03-3409-5039 |
営業 時間 |
18:30〜22:00(LO21:00) |
定休日 |
土・日・月・祝 |
席数 |
17席 |
主な 客層 |
9割が女性 |
予算の目安 | 4,000円 |
開業 | 2002年3月 |
HP | http://www.fc-arr.com/site/kitchen.html |