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(東京都/港区)
ナチュラルスタイルの中国料理店「Essence」のコンセプトは「天人合一=てんじんごういつ」。これは、人は自然界の変化に応じて生きて、季節にとれる旬の食材を食べることが養生につながるという薬膳料理の根本となる考え方で、健康な生活を送る第一歩となる。オーナーシェフの薮崎友宏氏は、この考えに基づき、単に生薬を用いるだけでなく、産地直送の旬の食材本来の風味と持ち味を引き出す料理を生みだし、多くの女性の支持を集めている。今回は、数ある人気メニューのなかから夏におすすめの「冷やし豆乳担々麺」をクローズアップ!
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クローズアップメニュー
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冷やし豆乳担々麺 ドリンク付 1,600円(税込)
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胡麻ダレを、有機無調整豆乳で溶いた冷やし担々麺。女性を意識して、担々麺をより健康的に食べてもらいたいという思いから生まれた一品。麺は、細めの中華麺を使用。茹でたあと芯までしっかり冷やす。スープは、練り胡麻に独自のブレンドを施した胡麻ダレに有機無調整豆乳のみを加えて完成。しっかりと冷えた麺をスープに馴染ませ、炸醤(ジャージャン)、芽菜(ヤーツァイ)、花椒(ホアジャオ)、自家製ラー油、万能ねぎを盛りつける。マイルドでクリーミーな豆乳ベースのスープに、ラー油や花椒等の香辛料がピリッとスパイシー。暑い夏にぴったりの一杯。
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技のポイント1

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麺は、しっかりともみ洗いをして、氷水放置で芯まで冷やしてコシを出す
中華麺の細麺を使用。通常、茹で時間1分だが、冷やしの場合は、茹で時間2分30秒(左写真)。
茹で上ったら、しっかりともみ洗いし、ぬめりとかん水くささを取ってから氷水に1分程度放置する。少し柔らかめに茹でた麺のコシを出し、芯までしっかり冷やすことがポイント(右写真)。芯まで冷やした麺は、口の中がひんやりとして、噛むと「シコッ、シコッ」と奥歯で音を感じるほどだ。
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技のポイント2
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練り胡麻と、3種をブレンドした醤、五畜のスープで作る胡麻ダレ
練り胡麻に、郫県豆板醤(ピーシェントウバンジャン)、桂林辣椒醤(ケイリンシャージャオジャン)、ペーストにした泡辣醤(パオラージャオ)の3つを油で炒めたものと、醤油、酢、黒酢、五畜のスープを混ぜて胡麻ダレが完成(左写真右上、左上は有機無調整豆乳)。五畜のスープの材料は、牛、豚、馬、羊、鶏の骨と肉、陳皮、白粒胡椒、リュウガンで、8時間かけてじっくり作る(右写真)。
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技のポイント3
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有機無調整豆乳をゆっくり注ぎながら、胡麻ダレを溶く
スープに使用する豆乳は有機無調整豆乳。胡麻ダレを豆乳のみで溶く。胡麻ダレに、豆乳をゆっくり注ぎ、少しずつ溶きながら延ばすことがなめらかなスープを作るポイント。
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技のポイント4
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クリーミーな豆乳のスープに、スパイシーな具材で味にメリハリを
豆乳で溶いたスープはマイルドでクリーミーだが、トッピングする具材はスパイシー。
炸醤(写真右下)は、豚挽肉、甜麺醤(テンメンジャン)、中国たまり醤油で作る。芽菜(写真右上)は、軽く塩抜きし、刻んで、ごま油で炒める。ラー油(写真左上)は、韓国唐辛子に、陳皮、八角、シナモン、花椒でつくる自家製ラー油。写真左下は花椒、写真中央は万能ねぎ。
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おすすめメニュー1
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薬膳煮込みスープ(リュウガン、蓮の実、陳皮、ゴーヤ、新玉ねぎ、鶏肉)
※二十四節気コース「大暑」(7/23~8/6頃)コース内のスープ)
旬の野菜を使い、二十四節気と薬膳の考えを合わせて作っている薬膳煮込みスープ。今回は、旬のゴーヤをふんだんに使ったスープで、リュウガン(竜眼)、蓮の実、陳皮、ゴーヤ、新玉ねぎ、鶏肉(せせり)を、強火で2時間炊く。味付けは、塩、胡椒、砂糖。自家農園の旬な野菜を主軸に、薬膳の考えを取り入れ、素材を加える。リュウガンは、血を補う効能があると同時に、コクと甘味が出るので、苦いゴーヤのスープに、玉ねぎとともに甘味を補っている。暑い夏に、シンプルなスープはゴーヤの苦さをアクセントに体にすっと染み込む。およそ二週間で変わる二十四節気ごとの薬膳スープを毎回味わってみたくなる。
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おすすめメニュー2
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鮑 干しエビ入りクリームソース煮込み 4,000円(税込)
活蝦夷鮑に大根おろしをのせ2時間蒸す。添えている野菜は、チンゲン菜、ほうれん草など自家農園で作る旬の野菜を使用。今回は、湯どおしして、さっと炒めたつるむらさき。クリームソースは、干しえびを軽く炒め、五畜のスープ、バター、生クリーム、塩、胡椒で味付けをする。干しえびのうまみたっぷりのソース。比較的さらっとしたクリームソースは、鮑の風味を活かし、採れたての味の濃い旬の野菜に合う。お店のコンセプトの1つでもある“ワインと中華料理”を意識した一品。辛口の白ワインにぴったり。
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おすすめメニュー3
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黒毛和牛の海老みそチャーハン 2,000円(税込)
活蝦醤(シャージャン:海老みそ)で味付けするチャーハン。和牛肩三角を炒めた後、卵、ご飯、蝦醤、生姜のみじん切りを入れてさらに炒め、きび砂糖で味付け。白ねぎのみじん切り、レタスを加え、レタスがしんなりしたら、万能ねぎを入れて完成。蝦醤は塩分が強いので塩は使用せず、きび砂糖を加えているのでほのかな甘味を感じるチャーハン。香港、広東料理ではポピュラーなメニュー。牛肉の甘味と、発酵食品である蝦醤のうま味が効いている。
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お店紹介
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オーナーシェフ・薮崎友宏氏(写真中央)、店長/シェフソムリエ・須藤裕二氏(写真左より2人目)とスタッフの皆さん
薮崎氏は、実家が営んでいた食堂を継ぐため、18歳から横浜中華街「菜香新館」で中国料理の修業を始める。広東料理の本場、香港で働きたいという夢を持ち、早々に広東語の勉強も開始。そんななかで、薬膳の師と出会い、本格的に薬膳も学んだ。向上心、勉強熱心さは、中華中医薬学会認証の国際薬膳調理師はじめJSA認定ソムリエ、CPA認定チーズプロフェッショナル、農林水産省主催の料理マスターズブロンズ賞、コマンドリー・ド・ボルドーなど数々の資格取得・受賞経歴からも伺える。
そして、お客様に安心して食べてもらえる料理を作りたいと独立を決意。2007年にEssenceを開店し総料理長に就任。翌年にはオーナーシェフとして独立した。
薮崎氏は自らの料理を「身体と心を癒す料理」と表現する。その言葉に込められた想いは、料理の味や薬効だけでなく、食事を楽しむ店内やテラス席の心地よさにも表れている。また近年は、新鮮な食材を単に仕入れるだけでなく、栃木県足利市にある自家農園に週2〜3回通い、使用する野菜の育成を手伝っている。現地で、畑の状態と相談しながら自らの手で育てることにより、作物の状態をより詳しく把握できる。それにより、「畑の野菜ありき」で、決めるメニューもあると言う薮崎氏。素材や調理法の工夫・追求を常に欠かさない薮崎氏の料理は、中国料理の可能性を押し広げ続けている。
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基本情報
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店名 |
Natunal Style Chinese Restaurant 「Essence」 |
住所 |
東京都港区南青山3−8−2
サンブリッジ青山1F |
電話 |
03-6805-3905 |
営業時間 |
ランチ 11:30~16:00(L.O)
ディナー 18:00~22:00(L.O)
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定休日 |
年中無休(不定休・年末年始)
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席数 |
テーブル18席、カウンター4席、
テラス8席
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主な客層 |
20代後半以上の女性が多い。
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予算の目安 |
ランチ 1,200円位(平日) 1,200〜2,500円位(休日)
ディナー 8,000〜10,000円位
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1日の客数 |
ランチ50人
ディナー20〜30人 |
開業 |
2007年3月 |
HP |
http://essence.tokyo/ |
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※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
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