【フレンチ】Jour de Marché(ジュー ドゥ マルシェ)

(東京都/新宿区)

大切な人や特別な日のために、いつもより少し贅沢な食事を……。東京都新宿区の「Jour de Marché(ジュー ドゥ マルシェ)」は、そんなときにぴったりのフレンチレストラン。まさに隠れ家のように静かにたたずみ、コースのみの提供ながらカジュアルな雰囲気も漂います。本格的な味と十分なボリューム、その割に価格は控えめとあって、気軽に利用できるところも大きな魅力です。

クローズアップメニュー
鮮魚のポワレ オマールのソース(コースの一部)
白身魚とエビのソテーに旬の野菜を添えて、オマールエビのソースで食べるうま味いっぱいの一皿。今回はヒラメと天使のエビを使用。ヒラメはカットして皮に切れ目を入れ、塩と白コショウを皮側は控えめに、身側に多めにふりかける。反らないように抑えながら、主に皮側を香ばしく焼き、身の側は最後に余熱で軽く焼く。エビは胴体とシッポの殻をきれいに取って、同じく塩と白コショウをふりかけてソテーする。野菜はレンコンの輪切り、形がかわいらしいピッコロニンジン、紫と白のグラデーションが美しいアヤメユキカブを、茹でてから軽く焦げ目がつく程度にソテーして添えた。
技のポイント1
 
オマールエビの胴体と足、たっぷりの野菜でスープをとる
ソースのベースとなるスープの材料はオマールエビ、タマネギ、ニンジン、セロリ、ニンニク、タイム、ローリエ。オマールエビは胴体と足を用い、胴体は縦半分に割って砂袋を取り除き、足は適当にカットしておく。野菜は細か目にカットする。
 
技のポイント2
 
オマールエビの焼き加減がソースの味を左右する
予め材料をソテーする。オマールエビは胴体と足を別々に、オリーブオイルを敷いたフライパンでソテーし、途中でコクを出すための無塩バターを加える。このとき、焼きが甘ければこうばしさが足りず、焼き過ぎれば苦味が出てしまうので、殻に適度な焼き色がつく程度のタイミングを逃さないのが大切だ。



野菜類は、スープをつくる片手鍋にオリーブオイルを熱し、最初に皮つきのまま横半分に切ったニンニクを入れ、その後、ハーブとともに野菜を全部入れてまんべんなく火を通す。

技のポイント3

 
ソテーしたエビの殻を砕き割り、ブランデー、白ワインを加える
エビのうま味をより引き出すために、適当なところで木べらで殻をたたいて砕く。その後、ブランデーと白ワインを入れて全体をよくなじませる。ここで、アルコールを揮発させ、臭みをとる。

技のポイント4

エビと野菜を一緒に煮ながら、あくを取り除く
野菜をソテーしたところにオマールエビを加え、ひたひたの水を入れて煮る。煮込む時間の目安は30分程度。煮立ったらあくを丁寧に取り除く。あく取りの作業もソースをおいしく仕上げる大事なポイント。

 

技のポイント5

 
固形分を取り除き、3分の1程度の量になるまで煮詰め、生クリームなどを加える
スープを火から下ろし、5分程度置いてなじませたら、ハンドミキサーで固形分をある程度細かくしてからザルで漉す。その後煮詰めてうま味を凝縮させる。

 

そこに牛乳と生クリームを加えてさらにしばらく煮詰める。牛乳は、生クリームだけだと濃厚になり過ぎるのを和らげるために使用する。 
技のポイント6
テーブルに運ぶ直前にソースを泡立て、泡の部分をふわっとかける
ソースは泡状にして用いる。白身魚、エビ、野菜を皿に盛りつけたら、テーブルに運ぶ直前にハンドミキサーでソースを泡立て、泡の部分をすくってかけて出来上がり。
オススメメニュー1
仔鴨胸肉のロースト 赤ポルトとエピスのソース(コースの一部)
サラダ油を熱した銅鍋で香ばしく焼き、ローリエやタイムで風味をつけた仔鴨に、お酒を効かせたソースをかけたメインディッシュの1つ。ソースは、赤ポルト酒と赤ワインを火にかけて適度に煮詰めたところにフォンドボーを加え、スターアニスやコリアンダーなどのハーブを入れてさらに煮詰めたもの。付け合わせは彩りの良い野菜などで、写真はバターや赤ワインビネガー、塩、コショウで調味した紫キャベツ。手前のクリーム状のものはジャガイモのピューレ。スパイスは飾りとしても効果的に使用している。
オススメメニュー2
鮎のコンフィ 季節野菜のサラダ仕立て(コースの一部)
アユに塩、白コショウ、カイエンペッパーなどをふって一晩置いたら、水分を切って、ニンニクやハーブ類を加えたオリーブオイルに浸し、120℃のオーブンで骨がやわらかくなるまで6時間ほど火を入れる。この状態で保管し、オーダーが入ったらオーブンで焼き色を付けつつ中まで温めて、少量のフルール・ド・セル(塩の花の意味=大粒の天然塩)をふりかけ、酸味のある味つけの野菜などを添えて提供する。夏になるとお目見えする季節感たっぷりの一皿。
オススメメニュー3
鱧と花ズッキーニのフリット 山椒のジュー(コースの一部)
ハモと花ズッキーニを、セモリナ粉を炭酸水で溶いた衣で揚げたものと、皮付きのまま丸ごと火を通し、オリーブオイルとフルール・ド・セルで味つけたヤングコーンの組み合わせ。ソースは冒頭で紹介したオマールのソースと同様の工程で鶏手羽と野菜でとったスープがベースで、煮詰めてから山椒の実を加えている。皿に盛り、フランス・バスク産の辛味の少ないトウガラシ、ピマンデスペレットの粉末を添えた。
  • お店紹介
    「肩肘張らずに、ゆったりと料理を楽しんでいただきたい」と語るオーナーシェフの榎本奈緒子さん
     「Jour de Marché」は地下鉄都営新宿線曙橋から徒歩5分、大通りから少し入ったビルの1階にある。「フランス料理を食べ慣れている人でもそうでない人でも、気軽にお食事を楽しんでいただければ」と、オーナーシェフの榎本奈緒子さんが2015年4月にオープンした。メニューはお任せコースのみだが、「気軽に」というだけあって、ランチは2,800円と3,800円(ともに別途サービス料5%+税)、ディナーは5,800円(同10%+税)と比較的リーズナブル。これでランチは6〜7皿、ディナーは8皿の料理が楽しめる。
     「しっかりした火入れとおいしいソース。彩りや食感もバラエティに富んだものになるようにコース全体を組み立てています。一つひとつは小さめですが、トータルすると結構なボリューム。それでいて重い感じはなく、ワインなども無理なくお飲みいただけます」と榎本さん。ワインについてはソムリエが担当し、ボトルのほか、種類と量を選べる「Wineコース」も用意している。
     メニューは1カ月ごとに大半を入れ替える。ただし、スペシャリテである釜揚げシラスのリゾットと自家製プリンはほぼ定番だ。
     もともと短大を卒業して一般企業に就職し事務職をしていたという榎本さんが、OL生活に漠然としたもの足りなさを感じ、仕事としての料理に興味を持ったのは22歳のとき。そして迷いながらもこの世界に飛び込み、都内のレストランで5年間、フランス・リヨンの星付きレストラン、「ニコラ・ル・ベック」「レ・テラス・ド・リヨン」などで通算およそ6年間、技術と発想を学んだ。帰国後は都内のレストランで仕事をしたり、知人のレストランの立ち上げを手伝ったりと十分な経験を重ねて独立した。
     店内は落ち着いていて清潔感が溢れるが、半面、オープンキッチンでシェフの動きが見えるなど料理の臨場感も感じられる。食材や味の好み、苦手などにもできる限り対応し、誰もが食事を楽しみ、満足できるように努めている。
  • 基本情報
     
    店名 Jour de Marché(ジュー ドゥ マルシェ)
    住所 東京都新宿区四谷坂町12-11-1F
    電話 03-6380-5234
    営業時間
    ランチ12:00~15:00(L.O.13:30) 
    ディナー 18:00~23:00(L.O.21:30)
    定休日

    ランチ 火〜木曜 

    ディナー 水曜、第2火曜

    席数

    18席

    主な客層

    ランチ 女性グループ中心 ディナー 女性グループ、接待客、夫婦など

    予算の目安 ランチ 3,000〜5,000円 ディナー 1万円
    開業 2015年4月
    HP http://jourdemarche.jp/index.html
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。