【タイ料理】タイ屋台999(カオ・カオ・カオ)

(東京都/中野区)

東京・中野の飲食店街として、サンモール、ブロードウェイといった大規模商店街に勝るとも劣らない存在感を放ち続けているのが、これら商店街の東側の一角。この街の、ひときわ奥まった場所に2014年に開業した「タイ屋台999(カオ・カオ・カオ)」は、現地の屋台の再現を追求した店構えと、新鮮な食材でつくるクセになる味で多くのリピーターを集めています。

クローズアップメニュー

パクチー鍋 (コースの一部/写真は4人分)

4人前でパクチー1kg、豚肉600gが提供される、インパクト大の一品。パクチーは契約農家から毎朝届くので非常に新鮮で香りが強い。豚肉は、ほんのりした甘味が特徴の「和豚もち豚」のバラ肉を使用。これらをスープでしゃぶしゃぶし、2種類のタレにつけて食べる。
技のポイント1

スープは昆布だしを少量加えたお湯に近い状態で提供

朝採れのパクチーと和豚もち豚の風味を活かすため、スープは昆布だしを少量加えただけのお湯に近い状態となっている。これを卓上で沸かして使う。沸騰したら弱火にして使うのがおすすめ。
技のポイント2
農家と契約することで新鮮なパクチーを安定して確保
ここ数年すっかり人気食材となったパクチーを安定して仕入れるポイントは、農家と直接契約すること。毎朝仕入れ、冷蔵庫に保管してその日に使い切るため常に新鮮。シャキシャキ感や香りが際立つ。
技のポイント3
厳選した和豚もち豚で食べやすく
店主が「魔法の豚肉」と呼ぶほどほかの豚肉とは違った特徴を持つ和豚もち豚を贅沢に使用していることがパクチー鍋をおいしくする最大のポイント。この肉は脂の融点が低く、口溶けが良く、コクと甘味を合わせ持つ。また、茹でてもあくがあまり出ず、獣臭さがまったくないので、卓上調理が楽。店主の従姉が経営する群馬県の養豚場から新鮮な状態で仕入れている。
技のポイント4
つけダレは個性の違う2種類を用意
1つはだしのうま味の聞いたポン酢におろしダイコンを加えたおろしポン酢(写真右)。もう1つはタイ式のタレで、タオチオ(タイの豆味噌)、赤タマネギ、パクチーの根、オイスターソース、シーユーカオ(タイの大豆醤油)、酢、擦りゴマ、砂糖をミキサーにかけたもの。このタイ式タレは、個性的でうま味があり、「持ち帰りたい」と言う人が続出している。
オススメメニュー1
カオマンガイ(タイ風チキンライス) 950円(税抜)
水にショウガ、セロリの葉、パクチーの根を入れて沸騰させてから火を消し、その鍋の中に鶏肉を入れ40分ほど置く方法でやわらかく茹でる。次に、この茹で汁にニンニクオイル、チー油、砂糖、塩、少量の紹興酒を加えたものでご飯を炊く。これらを組み合わせて皿に盛りつけキュウリで飾り、ショウガ、ニンニク、パクチーの根、タオチオ、シーズニングソース、シーユーカオ、シーユーダム(タイの黒醤油)、砂糖を合わせてミキサーにかけたタレを添えた。タイ国内では専門屋台も多数存在する代表的な屋台ご飯、カオマンガイを、よりおいしく提供しようとレシピをつくりあげた看板メニュー。鶏肉はジューシーさが特徴の美桜鶏の胸肉、米は最高級のジャスミンライスを使用している。仕込みに手間がかかるため1日20食程度しかできず、昼、夜ともに開店1時間で売り切れることもしばしばという。
オススメメニュー2
タイ式ラーメン 950円(税抜)
甘く辛く酸っぱいタイ独特の味つけを最大限活かした一品。味のベースはナンプラーとシーユーカオで、そこに酢、砂糖、トウガラシの粉末を加えていったん沸かしてタレをつくり、これをカオマンガイの鶏肉の茹で汁で割ってスープをつくる。麺はセンレック(米麺、太さ2mm)を水で戻したあと沸騰したお湯でさっと湯がいて使用。トッピングは茹でた鶏肉、モヤシ、セロリ、ナッツ、桜エビ、パクチー、ネギ。
オススメメニュー3
コー・ムーヤーン(タイ式焼豚トロ焼き) 870円(税抜)
タイ東北部の代表的料理。コーとは首、ムーとは豚、そしてヤーンは炙り焼きの意味で、つまりこれは日本で食べるトントロ焼き。オイスターソース、ナンプラー、ホットチリソース、シーユーダム、シーユーカオを合わせた辛味とコクが持ち味のタレに、肉をやわらかくするためのパイナップルジュースを入れてコームーを一晩浸けてから焼く。つけダレも同じタレを用い、刻んだネギを入れ、炒り米パウダーをふりかけた。炒り米パウダーはタイの餅米とレモングラス、バイマックルー(こぶみかんの葉)を炒り、ミキサーにかけた自家製だ。
  • お店紹介
    「厳選した食材を新鮮な状態で提供することを大事にしています」と語る店主の新井勇祐さんと、「2014年ヒトサラ ベストシェフ賞」を受賞したシェフの諸見里耕さん

     2014年9月9日に「タイ屋台999」を開業したのは、それまで大学で心理学を研究していたという新井勇祐さん。食べることが大好きで、好きが講じて開業したこのお店は、バックパッカーの聖地といわれるタイのカオサンという街に並ぶ屋台をイメージしており、現地で仕入れたテーブルやイス、スタッフが描いたというカラフルな壁画が個性的。パクチー鍋に代表される盛りつけのインパクトも同店の大きな特徴で、「より印象に残る、ブログにアップしてもらえるような仕掛けを常に考えています」と新井さんは言う。
     ただし、こうした外見上の特徴は実はサブ的なもので、最も大事にしているのはもちろんおいしさだ。「きちんと選んだ食材を新鮮な状態で提供するのが最もおいしいかたち」と考え、朝絞めの美桜鶏をはじめ、メインの食材は毎朝新鮮なものを届けてもらう。これをその日に使う分だけ仕込み、つくり置きなどは一切しない。こうした姿勢にこだわっているため従来のタイ料理店に比べてメニュー数は少なめだが、繰り返し食べても飽きない味に仕上げることでリピーターを獲得している。常連客にはムエタイの選手など、タイ料理にくわしい人たちも多いという。
     店名に使った「9」は、タイで最も縁起が良いとされる数字。「来店してくださった方々に素敵な思い出をつくっていただけるように」という店主の願いがこめられている。

  • 基本情報



    店名 タイ屋台999
    住所 東京都中野区中野5-53-10-1F
    電話 03-3386-0383
    営業時間

    ランチ
     11:30〜14:00 (火~金)
    ディナー

     17:30〜24:00(火~金)
     17:00〜24:00(土日祝)

    定休日

    月曜(祝日の場合は営業)

    席数

    43席

    主な客層

    9割が女性

    1日の客数 ランチ 40人 ディナー 60人
    予算の目安 ランチ800〜1,000円 
    ディナー 4000円
    開業 2014年9月9日
    ホームページ http://www.thailand999.com/
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