【和食】肉和創菜 道

(東京都/目黒区)

目黒通りから少し路地に入った住宅街にひっそりと佇むレストラン。ドアを開けると、カウンター5席、テーブル席2つの落ち着いた空間。最寄り駅は、目黒、祐天寺、学芸大学だが、あえてどの駅からも徒歩10分以上の距離がある立地を選んだ。都会にありながら喧噪を離れた静かな環境で時間がゆっくりと流れる。料理は、肉をメインとする創作和食。シェフの勝俣さんが西洋料理店、和食店で培った知識・技術を活かし、厳選した素材を用いて創り出す。開店して1年。その味と、この空間で過ごす時間に魅了された人々はリピーターとなるが、毎日変わるメニューには新たな美味しさの発見があり飽きることがない。今回は、肉料理を敬遠しがちな年配の方にも人気の高いシャトーブリアンの炙り焼きをクローズアップ。

クローズアップメニュー
青森県黒毛和牛シャトーブリアン炙り焼き(100g)5,200円(税抜)
 シャトーブリアンは、フィレ肉の中央部分の柔らかくきめの細かい上質な肉で、希少性の高い部位。今回使う肉は青森県の黒毛和牛のフィレ肉から切り出しておいたもの。素材を活かしシンプルに焼いたシャトーブリアンを、特製のソース、薬味等でいただく。肉に特製の塩をかるくふっておき、焼く直前に自家製の山椒胡椒をふる。オーブンとフライパンでさっと加熱。最後に香りとコクをだすために、バターを加え、カルバトスでフランベし20分ほど落ち着かせてからカットする。特製のポルチーニソース、海苔佃煮、生七味、薬味野菜の4種を添えて。肉は、レアでも芯まで温かく、表面は炙られた状態。シンプルに焼き上げた上質な肉を多彩な薬味、ソースで楽しむ一皿。
技のポイント1
塩はふるタイミングに合わせて量を調整
切り出してフレッシュの状態でカットして真空にしておいた肉は1時間かけて常温に戻しておく。その時点で塩をふる場合は、塩分がすべて肉に入っていくので量は少なめ。焼く直前に塩をふる場合は、油で塩が流れ出るので少し強めにふる。肉の状態等そのときどきで、塩ふりのタイミングと量を調整している。
技のポイント2

特製の塩・山椒胡椒が味のポイント
店内で使用する塩は特製の塩(左写真)。利尻昆布を水でじっくりと加熱し、濃厚なこんぶだしを作る。その中に3種の精製塩を加え、再度塩が結晶化するまで炊くことで、こんぶのうま味を充分に含んだ塩ができる。焼く直前にふる山椒胡椒(右写真)は、花山椒とブラックペッパーを1時間から煎りして作る。指先でパラパラとつぶすことのできるほど煎った山椒胡椒は香りがとてもよい。

技のポイント3

オーブンに入れた後、フライパンで焼くことで表面をカリっとさせる
網に乗せた肉を、200℃に温めたオーブンに入れ、片面約2分で両面を焼く。その後、熱く熱したフライパンに胡麻油をひき、両面をさっと焼いてからカルバトスでフランベ。仕上げにフライパンを使うことで表面がカリっとする。

技のポイント4

肉の味わいを活かし、さらにおいしくする4種の薬味とソース
添えられる薬味、ソースは4種。どれも自家製(以下、写真右から紹介)。
■ポルチーニソース
みじん切りしたポルチーニと新玉ねぎを特製塩でスエ(素材の持つ水分だけで炒める)する。ポルチーニの香りと新玉ねぎの甘みがきいたソース。
■薬味野菜
みょうが、しそ、新玉ねぎ、長ねぎ、5種のスプラウトを合わせた薬味野菜。ほかにも、これをベースに、生姜などを加えたりして、料理ごとにアレンジして使用している。
■生七味
すりおろしリンゴ、人参と一味、100%りんごジュース、黄柚子の皮、白ごま、黒ごまを加熱してつくる。辛みもあるが、甘味も感じられ、香辛料というよりは、こちらもそのまま酒のあてになる一品。
■海苔の佃煮
板海苔と香りのあおさ、食感の布海苔と3種の海苔を使用し、醤油、みりん、酒で煮詰めた佃煮。最後に有馬山椒を加える。様々な食感が楽しめ、しょっぱすぎず甘過ぎない味で、そのまま酒のあてにも御飯のお供にもしたい。
オススメメニュー1

冷製焼きとうもろこしのポタージュ 680円(税抜)
材料は、とうもろこしと牛乳。皮付きのまま蒸したとうもろこしの表面を直火で炙ったあと牛乳とミキサーにかけて濾し、特製の塩、胡椒で味を整えたシンプルな冷製ポタージュ。素材そのものの味を活かしたポタージュだが直火で炙ったとうもろこしの香ばしさがアクセントとなる。糖度の高い青森県産の「嶽きみ」を使ったものが特に絶品!
オススメメニュー2

びわと国産アスパラの白和え 900円(税抜)
皮をむいて一口大に切ったびわと、食感を残すよう少し固めに茹でたアスパラの白和え。水気を堅く絞った木綿豆腐に、自家製の白ごまペースト、アーモンドペースト、いりごま、淡口だし醤油を和える。ごまとアーモンドの両方を使うことで深みのある味となる。アスパラの食感、びわの甘い果肉が白和えに合う。季節によって、いちご、柿などの白和えも楽しめる。
オススメメニュー3

津軽鶏、サマートリュフ、枝豆ととうもろこしの土鍋御飯(1.5合) 2,800円(税抜)
牛骨スープとかつおベースのだしで炊く土鍋御飯。うま味が強く、味が濃い津軽鶏を使用し、三浦大根の鬼おろしを一緒に炊く。蒸らす直前で、生の枝豆、とうもろこし、最後にサマートリュフを加える。大根の鬼おろしは隠し味的存在だが、入ると入らないでは味が大きく変わる。ジューシーな津軽鶏と青く香る枝豆、甘いとうもろこし、サマートリュフ、そしてベースとなる牛とかつおそれぞれの香りとうま味があふれる御飯。
  • お店紹介
    オーナーシェフの勝俣道生さんとスタッフの塚田薫さん
    小学生のころから料理に興味があり、母親の料理本を眺めていたオーナーシェフの勝俣道生さん。なかでも、洋食のページが輝いて見えたという勝俣さんは、最初、西洋料理店に入り、その後、和食店に勤める。その経験を活かし、西洋料理の要素も取り入れた、和食の料理が並ぶ。
    八戸(青森県)出身の奥様の影響で、青森県の土地や食べ物に触れて、その素晴らしさを知り、使用する食材は、肉、野菜とも青森県のものが多く、日本酒も青森のものを中心に取り揃えている。
    「レストランは、付加価値の提供も大事。ほっとしていただける味付けの料理に、居心地、あそこに行くと楽しい、勝俣に会いたいな…と思ってもらえる店になっていけたらうれしい。常連のお客様は、私だけでなくスタッフも名前で呼んでくれるんですよ」と勝俣さんは笑顔で語る。
    素材の味を活かしつつ、お客様を思い描いて手間を惜しまず料理を“創る”。だからこそ常連客も店を愛する。そこから、相互に大事にしあう温かな雰囲気が醸成される。店名につけられた「道」という言葉にはそんな想いが込められている。
    「和食に洋食のテイストを加えた、お肉と野菜のお店なのですが、季節感、お客様の年齢層、料理のバランスも考えて、鮮魚、魚介類なども積極的にメニューに組み込んでいます」という勝俣さん。食材や調理法など味を追求して料理研究にも余念がない。「道」は、さらなる先へと続いている。
  • 基本情報



    店名 肉和創菜 道
    住所 東京都目黒区目黒4−11−1 1F
    電話 03-5734-1776
    営業時間 17:00~24:00
    定休日

    火曜日、第2水曜日

    席数

    カウンター5席、テーブル2席(4〜5名)

    主な客層

    近隣の方。40代以上の年配の方が多い

    1日の客数 平日、1回転。週末、2回転の日も
    予算の目安 約9,000円
    開業 2016年4月
    ホームページ http://michioniku.jp/
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
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