【薬膳火鍋】蒙古苑

(東京都/新宿区)

日本有数の繁華街・歌舞伎町にある雑居ビルの5階。エレベーターを降りると「ここは上海? 中国?」と一瞬錯覚しそうなエキゾチックな入り口が待ち受ける。オーナーの下村さんが、中国で取り揃えた調度品が並ぶ店内はさらに本場の空気感が漂う。上海に8年間の在住経験がある下村さんが、中国で週に二度は食べていたという火鍋。その中でも一番日本に持ち帰って伝えたかったという“薬膳火鍋”の店を開いたのは10年前。医食同源で健康・美容にもいいと、最近では女性にも人気の薬膳火鍋をクローズアップ!

クローズアップメニュー
火鍋 白湯紅油セット 2,970円(税込)1名様 ※注文は2名様から
(ラム、豚、野菜数種、うどんまたはラーメン、デザート)
コク旨白湯と香辣紅油の2種のスープが一度に味わえる一番人気の火鍋セット。火鍋初体験の方にもオススメ。
中国全土には、それぞれの地域の食文化を取り入れた火鍋が存在する。その中で、薬膳火鍋は内モンゴルが発祥といわれる羊肉をメインに食べる料理。白湯と香辣紅油は丸鶏を炊いたコラーゲンスープがベースとなっている。そこに、中国から直接仕入れている数種の生薬、香辛料が加わる。各テーブルでぐつぐつ加熱することで、じわじわと生薬や香辛料の香りが立つ。具材を鍋に入れてスープとともに食す。しっかりとスープに味がついているので、そのままいただけるが、お好みで自家製ラー油、自家製豆板醤、ごま油、ごまだれを追加してもいい。
技のポイント1
何も加えず、ぶつ切りの丸鶏で作る白濁したコラーゲンスープ
丸鶏をぶつ切りにし、何も加えずに作るコラーゲンスープがうま味のベース。3〜4時間、ぐつぐつと煮出したスープは、白濁し、コラーゲンをたっぷり含んでいる。火鍋の要である。
技のポイント2
8種の生薬を使用するコク旨白湯
コク旨白湯は、棗(ナツメ)、当帰(トウキ)、枸杞(クコ)の実、高麗人参、草果(ソウカ)、パイコウ、大茴香子(ターコイシャン)、龍目(リュウガン)の8種の生薬を使用。生姜、にんにく、ねぎと、塩を鍋に入れ、コラーゲンスープを注ぎ、テーブルで加熱。くせは少なく、全く辛みはないが、身体の芯から温まる(写真左側。右側は香辣紅油)

技のポイント3

香辣紅油は、8種の生薬と、自家製ラー油と自家製豆板醤がポイント
香辣紅油は、月桂樹、クローブ、山椒、紗仁(シャーラン)、パイコウ、八角、高麗人参、草果の8種を使用。自家製の料理用ラー油と、自家製豆板醤で辛みの味付けをする。スープは辛いがさらっとしているので、具材とともにおいしく飲める(写真右側。左側はコク旨白湯)
技のポイント4
自家製のラー油は、調理用とタレ用の2種類を作り、使い分ける
店で使用するラー油は、料理や鍋の味付けに使用するラー油と、客が食べるときに使うタレ用のラー油の2種作っている。調理用ラー油(写真右)は、さやの唐辛子から種を取り出し、まず、種に熱した油をかける。次に種を取り除き唐辛子のさやに先ほどの油をかけて作る。種の辛さも加わり辛い。タレ用ラー油は、粉末の唐辛子に熱した油をかけて作る。
技のポイント5
香辣紅油の塩味は自家製の豆板醤がポイント
豆板醤も自家製。唐辛子の種類を変え、3段階の辛さの違う豆板醤を作っている。火鍋は、辛さの好みを伝えると、希望に合わせて、この3段階の豆板醤を使い分けて辛さを調整してくれる。香辣紅油には塩は使用せず、豆板醤のうま味と塩味が調味料となっている。
オススメメニュー1
蟹みそ小籠包(4個) 710円(税込)
餡は、肉と蟹。蟹のうま味が肉汁に加わり、味が濃厚な小籠包。上にのっているのは蟹みそ。薄めの皮を破ると蟹の風味が香る。口に頬ばると、柔らかい餡と、たっぷりの肉汁、肉汁の染み込んだ皮がするっとのどごしよく通る。
オススメメニュー2
地鶏の旨味辣油漬け 1,190円(税込)
店の四川料理人気NO.1メニュー。地鶏を、生姜、ねぎ等の香味野菜と一緒に茹で、下味をつけてスープの中で休ませる。しっとり仕上げた茹で鶏に、自家製の調理用ラー油をたっぷりかけた一皿。真っ赤な見た目ほどは辛くなく、食べやすくくせになる味。鶏の下に隠れているもやしとキュウリはシャキシャキとして、味のアクセントになる。暑い夏に冷製の辛い料理もいい。
オススメメニュー3
ラム串焼き(2本) 430円(税込)
ラムを唐辛子、クミン、塩、醤油等の調味料に漬け込み、串に刺して焼くモンゴル料理。ラムとクミンの香りが、本場の味を醸し出す。辛みが足りなければ、唐辛子とクミンを合わせた唐辛子をふりかける。
  • お店紹介
    料理長の王さん(写真右)と店長の呉さん
     上海に8年間住んでいたオーナーの下村さんは、いろいろな料理を食べ歩き、火鍋が大好きになった。中でも、中国で一番気に入った火鍋は、モンゴルで育てた羊肉を使い、薬膳を取り入れた火鍋専門店のもの。帰国に際して、火鍋のお店を日本で開くことを決意し、10年前、薬膳火鍋のお店を創業。まだ日本では火鍋が一般的でなかった頃だ。
    現在、日本にもその火鍋専門店の支店が存在する。「うちの火鍋は、そこを参考にした味です」と下村さんは謙虚に話す。しかし、中国人スタッフとともに、本場中国で食べた火鍋を再現しつつ、日本ならではのアレンジを加え、いまや“蒙古苑の味”となっており、その味を愛するファンは着実に増えている。下村さんは「夏こそ火鍋」と言う。生薬と香辛料を駆使した薬膳火鍋は、暑い時期に食欲がなくても、あっさりとして食べやすい。猛暑のすさまじさが年々増す近年、上海に住んでいた頃の実体験も踏まえ、食欲がなくなる夏こそ、薬膳を取り入れた火鍋を食べて元気になってもらいたいとのこと。
    中国の装飾品、家具が並ぶ店内、中国人の調理長、店長、スタッフと、異国情緒あふれる蒙古苑で、暑い夏こそ薬膳火鍋を!
  • 基本情報
     
    店名 蒙古苑
    住所 東京都新宿区歌舞伎町1−10−3 G3ビル5F
    電話 03-3208-1578
    営業時間 日〜木17:00~24:00
    (L.O. 23:00) 金土17:00~5:00(L.O. 4:00)
    定休日

    年中無休

    席数

    全36席

    主な客層

    比較的女性客が多い。

    1日の客数 秋冬は2〜3回転。夏は1回転。
    予算の目安 5,000円位
    開業 2007年4月
    HP http://www.moukoen.jp/
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。