(東京都/中央区)
銀座の露地に建つ、割烹料理店を思わせる和の佇まいの店。「京都にあるような店の雰囲気をもつラーメン店を銀座に開きたかった」というオーナーの想いを体現した店は、引き戸からカウンター、壁面、椅子やトレイに至るまで木目の美しい白木を多用して、上品で落ち着いた空間を演出。主役のラーメンの味も繊細な京料理を思わせる。オススメは、発酵食品として注目される酒粕を使ったスープのラーメン。口コミ、テレビなどで広まり、大半の客が注文するという「酒粕濃厚そば」をクローズアップ!
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クローズアップメニュー
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酒粕濃厚そば 980円(税込)
髄まで溶け出ている鶏と豚の白湯と丸鶏のスープをあわせて、酒粕を加えて仕上げる。かえしは醤油ベース。麺は、スープがよく絡む中太ストレート麺。どんぶりから酒粕の香りがふわりと立ち上る。
白濁したトロトロのスープは濃厚だが、酒粕により濃度をだしているので、脂のこってり感はなく、さらりとした上品な味わい。
トッピングの具材は、同じ豚でも部位と調理法を変えて2つの味が楽しめる豚バラ肉のチャーシューと豚肩ロースのコンフィ、三つ葉、煮卵、小松菜、刻みネギ、海苔、そして表面を炙った栃尾揚げなどで、味に多彩なアクセントをそえるように工夫されている。
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技のポイント1
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スープは、鶏と豚の白湯と丸鶏スープのダブルスープ
白湯は、同量の鶏・豚のみを髄が溶け出すほどグツグツ煮る。冷ましてから浮かんだ鶏油とラードは取り除き、ゼラチン状に固まった部分のみを使用。丸鶏スープの材料は鶏のみ。この2種を合わせたダブルスープがうま味のベースになる。
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技のポイント2
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かえしには3種の醤油を使用
風味、塩分などそれぞれ役割を持たせた3種の醤油をブレンドしてかえしを作る。醤油は、香りを損なわないように直火にかけずに湯せんでいい塩梅に加熱。あさりや、カキのエキスも加えており、かえし自体にも十分なうま味が溶け出ている。
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技のポイント3
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酒粕は湯せんでゆっくりとアルコールを飛ばす
酒粕は、兵庫県・灘の酒蔵で作られたものを使用。酒粕を水でのばし、2〜3時間湯せんで加熱し、ゆっくりとアルコールを飛ばす。この時点で、完全にアルコールは飛ばないが、仕上げ時にスープを沸騰させることで、アルコールは完全に飛ぶ。
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技のポイント4
麺は特注。スープによく絡む中太ストレート麺
店で使用する麺は、京都の麺屋棣鄂の特注麺。メニューにより麺を変えており、酒粕濃厚そばには中太ストレート麺を合わせる。周りはもちもちして、少し芯が残るような感じに茹で上がり、スープが麺によく絡む。
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技のポイント5
スープ・かえし・酒粕は、一度沸騰させた後に弱火で少し煮て一体感を生む
注文を受けたら、鍋に、スープ、かえし、酒粕を入れ、一度沸騰させる。その後、弱火で少しコトコトと煮ることで、スープに一体感を持たせている。
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技のポイント6
厳選した薬味を好みのタイミングで加える
薬味として添えられるのは刻み甘酢生姜(写真右)と青唐辛子みそ(写真左)。なかでも刻み甘酢生姜は人気。カウンターには、京都の千鳥酢、一味、粉山椒が並び、食べ進むにつれて好みのタイミングで薬味を加えて味の変化を楽しむ客も多い。
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オススメメニュー1
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塩そば 白 950円(税込)
スープは、4種の煮干し、昆布、鯖節、鰹節を使用(魚系清湯)。かえしは白醤油ベース。野菜オイル、鶏湯、チャーシューだれを加え、一杯のどんぶりの中に自家製のうま味が凝縮されている。すっきりと品の良いスープには、つるっとした細麺が合う。魚介のうま味たっぷりで日本人好みのほっとする味に感じるが、隠し味にノイリープラット(ドライベルモット)を使っており、添えられる薬味はポルチーニのピュレと、イタリアン出身の店主のアイデアが光る。
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オススメメニュー2
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醤油そば 黒 950円(税込)
醤油の香りを大切にしている。塩そば同様、スープは魚系清湯。かえしは、木桶仕込み生醤油、再仕込み醤油と2種の醤油をブレンド。野菜オイル、鶏油、チャーシューだれに、甘くならない程度にザラメを少々加える。しっかりとした魚貝系スープだが、醤油の邪魔をせず、醤油の風味をきちんと残した香り高い一杯。
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オススメメニュー3
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酒粕濃厚つけそば 1,000円(税込)
酒粕濃厚そばのつけそばバージョン。つけ汁は、酒粕濃厚そばと比べると、白湯を若干多め、丸鶏スープを少なめにして、さらに濃厚に仕上げる。かえしと酒粕は、濃厚そばと同様。麺はリングイネのような楕円形の太麺。つけ汁にからむように、つるつるもっちりとしている。トッピングは別盛りにし、つけ汁には、チャーシューやコンフィの切れ端をサービスで入れている。
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お店紹介
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店主の金子晋衛さん
「銀座で、京都にあるような上品なお店のラーメン店を作りたい」というオーナーの元に、イタリアン出身の現店主の金子晋衛さんと和食出身の前店主の2人が集まり2016年7月に開業。
「京都」への想いは、店構えにも色濃く感じられ、白木を基調とした上品な和の雰囲気は、入りやすいと特に女性に好評。話題の発酵食品、酒粕を使ったメニューが人気となり、露地裏という立地にもかかわらず、メディア、口コミで人気が広がり、開店以来、風見の味に魅せられた常連客が増え続けている。
金子さんはイタリアンの出身。当初は、畑違いのラーメン店で、しかも「京都にあるような店」という和風なコンセプトに戸惑いも感じたというが、レシピ開発で試行錯誤をした際は、隠し味に洋酒やポルチーニを使用するアイデアなど、イタリアンの経験が活かされた。さらに、スープの仕上げにソテーパンを用いて、ユニフォームはコックコートを着るなど、ところどころに垣間みえるイタリアンテイストは、店独自の特長にもなっている
京都の割烹料理店を思わせる店の戸を開けると、そこはラーメン店という意外性のあるコンセプトに驚かされる。そして、一杯のラーメンの中に込められた和洋の枠にとらわれない独自の味を食したとき、さらに嬉しい驚きが待っている。
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基本情報
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店名 |
銀座 風見 |
住所 |
東京都中央区銀座6−4−13 浅黄ビル1F |
電話 |
03-3572-0737 |
営業時間 |
昼 11:30〜15:30
夜 17:30〜22:30
(L.O. 22:00) |
定休日 |
日曜
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席数 |
カウンター8席
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主な客層 |
近隣のビジネスパーソン、女性も比較的多い
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1日の客数 |
昼は多い時で8回転 |
予算の目安 |
1,000円くらい |
開業 |
2016年7月 |
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※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。