(東京都/港区)
連日営業開始前から行列ができ、40席の規模でランチ200〜250人、ディナー50〜100人を集客する繁盛ぶりを見せる「中華風家庭料理ふーみん」。創業は1971年で間もなく半世紀を迎えるわけだが、その人気はいまだ衰えることを知らない。同店の料理は〝中華風家庭料理〟。創業者の斉 風瑞(さい ふうみ)さんが、台湾出身の両親から影響を受けた家庭料理をベースに、和食や洋食などのエッセンスも取り込んだオリジナリティ溢れるメニューで、これらを目当てに毎日のように通うファンが多い。2016年11月に厨房は中華料理のベテラン、白井次男さんにバトンタッチされたが、昔ながらのメニューと「お母さんのやさしい味」という想いはしっかりと受け継がれている。
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クローズアップメニュー
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帆立貝ときのこのXO醤炒め 2,500円(税込)
料理長白井次男さん自家製のXO醤を贅沢に使った魚介とキノコや野菜の炒め物。取材時(2018年2月20日)は新鮮なホタテを使用し、キノコはヒラタケ、ナメコ、白マイタケ、黒マイタケ、野菜はアスパラ、黄パプリカ、ニンジン、生ギンナン、長ネギ。食材の味わいをいかすため強火でさっと炒め、XO醤など調味料の味は絡める程度に留める。
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技のポイント1
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合わせ調味料を調理の直前に作る
注文が入るごとに合わせ調味料を作るところから調理がスタート。合わせ調味料は作り置きしてしまうと料理の色合いがくすんでしまうため、炒める直前に作るのが彩り鮮やかに仕上げるポイント。店内で炊いたガラスープに日本酒と老酒をブランドしたもの、塩、ニンニク、片栗粉などを合わせる。
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技のポイント2
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自家製XO醤を使用する
貝柱、干し海老、蝦子(シャーヅ)、咸魚(ハムユイ)を油で揚げた後、唐辛子、牡蠣油、山椒などの香辛料と合わせて5〜6時間かけてじっくりと蒸し上げて仕上げる。甘味、旨味、辛味、塩加減、風味のバランスが整った味にたどり着くまで、白井料理長は何年もかけて材料の配合バランスや蒸し時間の微調整を繰り返した。蒸し上げた後は熟成させずに7日前後とフレッシュなうちに使い切ることで、醤の具材感を高めている。
技のポイント3
ホタテと野菜・キノコを分けて油包(ユーパオ)する
ホタテは新鮮なものを使用し、味つけはせずに油包して食材の味わいを主張させる。180℃に熱した油を注ぎかけて油通しする感覚で、食材の旨味を閉じ込める。これに対して野菜やキノコは油温が120℃と低温のうちに中華鍋に投入した後、強火にして180℃まで加熱したところで油からあげる。これにより野菜の色にツヤを出し、油のコクを野菜に吸いこませる。
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技のポイント4
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XO醤を軽く炒めて香りを出す
熱した中華鍋に油、XO醤を投入し、強火にして香ばしい香りを出す。続いて長ネギとショウガを入れて油に香りを移す。その後、油包したホタテと野菜を一気に投入して軽く炒め、合わせ調味料を入れて全体を馴染ませるように仕上げる。
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オススメメニュー1
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豚肉の梅干煮 1,100円(税込)※ランチのみ。ごはん、お味噌汁などとともに定食、または豚肉の梅干煮のせ麺として提供
毎朝10kgの豚肉を仕込み、早い日にはオープン1時間後に売り切れてしまう名物料理。豚バラ肉を下茹でした後に水、醤油、清酒、ザラメ、ニンニク、そして梅干を入れて2時間30分ほど煮込んでいく。梅干を入れることで豚肉を柔らかくし、程良い塩分に仕上がる。
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オススメメニュー2
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納豆チャーハン 1,300円(税込) ※価格はランチ時。ディナータイムと土曜日は1,430円(税込)
創業当初の常連客との会話で「納豆を炒めたら美味しいみたいだよ」というやりとりから「納豆炒め」という料理が生まれ、それがやがて「納豆ごはん」、「納豆チャーハン」へとバラエティが広がっていった。
納豆は一般的な小粒納豆を使用し、チャーハンらしくパラパラとした仕上がりを大事にするため調理の最後に入れてさっと和える。最後に入れる香り付けの醤油は、納豆との相性が良い国産の濃口醤油だ。
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お店紹介
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写真手前右が代表取締役の瀧澤一喜さん、左が白井次男料理長。「ふーみんママの想いを大事にしながら、少しずつ新しいことも採り入れていきたい」
創業者の斉 風瑞さんがまだ弱冠25才だった1971年に、カウンター席とテーブル2卓のお寿司屋の居抜き物件を使ってはじめた「中華風家庭料理ふーみん」。「ねぎワンタン」や「納豆ごはん」、「豚肉の梅干煮」といった今も続く名物料理の数々は、創業当時の常連客のリクエストに応えようと試行錯誤を繰り返した「お客様とともに作り上げてきた味」だ。
斉さんが心がけてきたことは、食べる人の心を癒やす「お母さんのやさしい味」。第二の食卓のように日常利用する常連客が飽きることがないよう、ひとつひとつ異なる味付けに仕上げている。1986年の移転で席数は42席と大幅に増えたが、味のベースを統一するなどの効率化はいっさいせず変わらぬ想いを料理に込めている。ファッションやグルメなど日々変化するトレンドを生み出してきた流行発信の街〝青山〟にお店を構えながら、半世紀近くにわたり近隣の会社員や住民の心をしっかりと掴み続けている。来店客には子や孫の代も同店のファンというファミリーも少なくない。2016年11月には白井次男さんに厨房のバトンを渡した。白井さんは全国各地の中国料理店で修業を積んできた。「食でお客様の心を癒やすというふーみんママのモットーを大事にしながら、少しずつ新しいことも採り入れていきたい」と語る。現在、斉さんは新たに自らのアトリエを構えて、多方面で「お母さんのやさしい味」を提案し続けている。
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基本情報
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店名 |
中華風家庭料理ふーみん |
住所 |
東京都港区南青山5-7-17
小原流会館B1F |
電話 |
03-3498-4466 |
営業時間 |
月〜金:11時30分〜16時30分(16時L.O.)、18時〜22時(21時30分L.O.)
土曜:11時30分〜16時30分(16時L.O.)、17時30分〜21時30分(21時L.O.) |
定休日 |
日曜、祝日、第1月曜
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席数 |
42席(カウンター6席、
テーブル36席)
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主な客層 |
男女世代を問わず幅広い客層を集客
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1日の客数 |
ランチ200〜250人、
ディナー50〜100人 |
予算の目安 |
ランチ1,100円、
ディナー4,000円 |
開業 |
1971年11月(1986年5月に現地に移転) |
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※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。