【ラーメン】支那そば屋 こうや

東京都/新宿区

前身は四谷しんみち通りの人気屋台だった「支那そば屋 こうや」。実店舗を構えて30数年経た今では、ラーメン通の間で“こうや系”と称される系統の元祖として幅広い世代に愛されている。人気の秘密はさらっとした塩醤油味のスープとつるりとしたのど越しのよい細麺。それに加えて、肉たっぷりの雲吞や、酒もご飯も進む一品料理のおいしさで昼夜を問わず、お客が絶えない繁盛店だ。
クローズアップメニュー
雲吞麺 1,000円 (税込)
チャーシュー、メンマ、ネギ、海苔をのせた基本の支那麺に、肉たっぷりの雲吞を5個加えた看板商品。支那麺のスープはかえし30ccをスープで割り、最後に自家製ラードを加えることでさらりとした中にもコクのある味わい。一般の店の雲吞がつるんとした皮の食感を味わうものなら、「こうや」の雲吞は食べ応えのある肉団子と皮とのコンビネーションを楽しむものだ。柔らかな雲吞は食べると肉の旨みがじわっと広がり、豚骨と鶏ガラ、玉ネギをじっくり炊いた滋味深いスープとの相性もよい。2~3人でシェアして〆に食べるお客も多い。
技のポイント1
雲吞の肉餡は豚挽き肉に鶏挽き肉を合わせてふんわりとした食感に
カッターにかけて細かくしたネギ、干しシイタケ、干しエビ、白菜を、一度炒めて水分を飛ばして冷やしておく。豚挽き肉と鶏挽き肉を3対7の割合で合わせて野菜に加え、紹興酒、オイスターソース、塩、こしょう、チャーシューのタレで味付けし、最後に背脂を入れてさらによく練り、休ませる。
技のポイント2
 

 
熟練の技で包む雲吞は肉に火が通りやすい形に工夫あり
1個あたり20gほどもある肉餡を包むのは、従業員の女性たちだ。片手に皮を持ち、へらですくった餡をのせて器用に包む。包み終えると肉の多いおしりの部分を少しへこませて火の通りをよくしている。計量しなくても同じ大きさに包む素早い動きはまさに熟練の技。包んだ雲吞はオーダーが入ったらすぐに茹でられるよう、5個単位で整然と並べられている。
技のポイント3
 

かえしは濃い塩水に濃口醤油を合わせてチャーシューは熟成ダレを継ぎ足して煮る

沸騰した湯に塩を入れて濃い塩水を作り、そこに濃口醤油を入れて合わせる。塩をそのまま入れるのではなく、塩水を使うことで塩の角が取れ、かえし全体の味が均一になる。チャーシューは豚バラ肉を1回に10kgずつ煮て一晩おく。煮汁は長年受け継いできた熟成ダレにスープと濃口醤油を継ぎ足したもの。肉の旨みが溶け込んだチャーシューのタレは、炒麺のほか料理の隠し味にも使われている。
技のポイント4
 

二つの寸胴鍋を使って、常に安定した味のスープを提供する

スープに使う豚骨と鶏ガラの割合は7対3。豚の頭25個を含む1回の仕入れ量は全部で100kgにもなる。朝一番で仕入れた豚骨と鶏ガラは沸騰した湯で茹で、水に晒してきれいに掃除したあとに、前日のスープを半量残した寸胴に入れ、湯を加えて3時間半炊く。これが昼分のスープとなる。そこから豚骨と鶏ガラをとりだして別の寸胴に移し、玉ネギ12~3kgと湯を加えて4時間ほど炊き、最初の寸胴に継ぎ足していく。こうすることでスープの味が常に安定し、切らすことなく夜までの通し営業が可能になる。
技のポイント5

 
  

創業以来のレシピで作る麺と雲吞の皮

麺と雲吞の皮は創業以来付き合いのある、新宿の吉田食品製。上質の小麦粉と卵を使った麺は支那麺や涼麺用の細麺と、炒麺用のむっちりとした太麺の二種類。細麺はコシが強く、つるりとした食感ながら、醤油味のスープによく絡む。一人前150gを使用している。かん水を使った雲吞の皮はつるんとした食感が特長的だ。
オススメメニュー1
涼麺 1,000円 (税込)
2種類ある涼麺のうち、1年中提供しているのがつけ麺タイプの涼麺だ。つるつるとのど越しのよい細麺を茹でた後にサラダ油で和え、チャーシュー、錦糸卵、キュウリ、海苔、白髪ネギ、戻してから甘酸っぱい中華ドレッシングで和えたくらげをのせている。つけ汁は醤油とザラメを合わせ寝かしてから酢を加えたかえしを、カツオ節、サバ節、昆布の出汁で割った和風味。柔らかな酸味と出汁の旨さが際立つ涼麺はさっぱりとしていて、〆の麺としても人気だ。
 
オススメメニュー2
炒麺 950円 (税込)
特注の太麺と豚バラ肉、野菜とを炒め合わせたボリュームたっぷりの炒麺。自家製ラードでネギ、ニンニク、ショウガを炒めて油に香りを移し、豚バラ肉、モヤシ、白菜、ニンジン、ニラ、キクラゲ、白ネギを炒め、そこへ太麺を入れて炒め合わせ、シャンタン、チャーシューのタレ、みりん、ナンプラー、八角入り醤油ダレで味付けする。シャキッと炒めた野菜と太麺のモチモチとした食感とが好相性で、最後まで飽きずに食べられる。
オススメメニュー3
しじみの辛子みそ炒め 1,100円 (税込)
島根の宍道湖、青森の十三湖、茨城の涸沼と、その時々で最良の産地を選んで仕入れる大粒しじみの辛子みそ炒めは、開店当初からある人気酒肴の一つ。ネギ、ショウガ、ニンニクを炒め、シジミと紹興酒を入れたら蓋をして口を開かせ、赤トウガラシと豆板醤で味け。絶妙の火加減でふっくら食感に仕上げたピリ辛のしじみが、酒を呼ぶ。
オススメメニュー4
牡蠣のオイスターソース炒め 1,100円 (税込)
片栗粉をつけて油通しした牡蠣をスナップエンドウ、長ネギと炒め合わせた一品料理。スナップエンドウと長ネギは油通ししてシャキシャキ感を残し、から揚げした牡蠣と合わせたら紹興酒を振り入れ、オイスターソース、支那麺のスープで調味する。お好みでチリソースをつけても。酒肴にもご飯のおかずにもなる一皿だ。
 
  • お店紹介
    店の明るい雰囲気は、スタッフともども息の合ったチームワークから生まれる。左から2番目が料理長川口さん、右から2番目が店主のお姉様の森山恵理子さん。
    四ツ谷駅前のしんみち通りは、サラリーマンや学生が気軽に飲み食いできる庶民的な飲食街。1961年、この通りに開業した支那そば屋台が「支那そば屋こうや」の前身だ。店舗を開いたのは1981年。今は創業者の実弟である原澤哲人さんが店主を務めている。屋台から店舗になっても昔懐かしい味の支那麺に定評がある。「支那麺は、屋台とは違う厨房設備を活かして、徐々に改良を重ねて今の味にたどり着きました」と語るのは料理長の川口尚登さん。店舗開業間もないころにホテルの料理人から転身してきた川口さんは、「支那麺だけでなく、料理全般に関して、先代がお客に出したい味をがっちり仕込まれました」と言う。
    昼前の11時半開店から夜11時まで、スープを切らすことなく通し営業ができるよう寸胴鍋二つを使い、毎日100kgの豚骨・鶏ガラと12~13kgの玉ネギで丁寧に仕込んだスープはあっさりとした中に滋味深さを感じる味わい。古い付き合いの製麺所から仕入れる特注の細麺との相性も抜群で、遠方からはるばる足を運んでくる客も多い。
    人気はやはり支那麺や雲吞麺、野菜たっぷりの湯麺や炒麺、1年中ある涼麺など。加えて夜ともなれば本格的な中華一品料理がお客を楽しませている。「菜単」には角煮や炒め物などの定番中華もあれば、腸詰や皮蛋など昼間から一杯やりたくなる酒肴も。肉たっぷりの雲吞10個を茹であげ、白髪ネギ、豆板醤、酢醤油を添えて供する皿わんたんもビールのお供に欠かせない。気取りのない広い店内は居心地がよく、勢いよく鍋を振る厨房内の活気が客席にも伝わってくる。食べるだけで元気がもらえる、そんな愛すべき町の中華屋さんである。
  • 基本情報
    店名 支那そば屋 こうや
    住所 東京都新宿区四谷1-23 上野KGビル1F
    電話 03-3351-1756
    営業時間 11:30~23:00(L.O.22:00)
    定休日

    日曜・月曜日の祝日

    席数

    80席

    主な客層

    幅広い年齢層 遠方からの予約客も有り

    予算の目安 昼1,000円 夜3,000円(アルコール含む)
    開業 1981年
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。