【ラーメン】麺や一途

東京都/品川区

武蔵小山の商店街から少し入った閑静な住宅街にある「麺や一途」。長年フレンチのシェフを務めていた店主とフレンチ出身のスタッフたちが作るラーメンは開店当初から注目を浴び、他では味わえないその美味しさに目覚めたファンたちで瞬く間に人気店となりました。「有希」、「卓」、「利」、「アンリ」等、ネーミングもユニークなラーメン。他店では味わうことのできない味の秘密を教えていただきました。
クローズアップメニュー
有希 ゆき 900円(税抜)
一番人気のフォンドボー味噌ラーメンです。複合的な旨みがしっかりと感じられるものの優しい味わいのスープは、二種類の味噌にマヨネーズ、パルメザンチーズなども練り込んだ味噌ダレに刻みネギ、かえし、香味油、唐辛子を重ね、じっくりと煮込んで旨みを引きだした自家製のフォンドボーベースのスープを加えて作っています。上には胡麻油とブラックペッパーで和えたモヤシ、醤油と砂糖で味付けした豚肉そぼろ、ミックスネギ(長ネギ、玉ネギ、赤玉ネギのスライスミックス)、しっとりと仕上げた豚バラ肉と背ロース肉の二種類のチャーシューをのせています。スープはまろやかで深みのある味わい。ネギも一緒に食べるとさっぱり感が生まれます。麺は板橋区の大栄食品製で加水率の高いモチモチとした食感がある中太麺を使用しており、とろみのある味噌スープによく絡みます。
技のポイント1
フランス料理の基本の出汁フォンドボーがベースになります
ベースとなるスープは仔牛の骨、鶏ガラ、モミジ、香味野菜をじっくり炊いて作るフォンドボーです。長く炊いても牛臭さが出ないように仔牛の骨を使用しています。1回の仕込みに使うのはニュージーランド産仔牛の骨20kg、地鶏のガラ10kg、モミジ10kg。それらを香味野菜と共に水から入れて10時間ほど炊き、1時間寝かせてから濾し、再び加熱をしてからさらに1日寝かせます。ラーメンにはこのフォンドボーに鯖節のスープを合わせて使っています。
技のポイント2

 

「有希」の味を決めるのは、二種類の味噌と調味料を合わせて練った味噌ダレ

田舎味噌に濃厚な旨みを加えるために仙台味噌を合わせ、ショウガ、ニンニク、ゴマ、三温糖を加えてコクをプラス、さらに料理酒を入れて炊き、マヨネーズとパルメザンチーズを加えてさらに練ったものが味噌ダレです。マヨネーズを入れることで全体がまろやかな味でまとまり、スープと合わせた時に分離しにくくなります。またパルメザンチーズが入ることで、普通の味噌ラーメンとはひと味違うコク深い味が生まれます。
技のポイント3

 


かえしは下総醤油にゲランドの塩、昆布、鯖節を漬けこんで作ります

かえしは色々な醤油を試してみた結果、千葉県香取「ちば醤油」の下総醤油を使用。さらにゲランドの塩、日高昆布、鯖節を合わせて2週間ほど漬けこんで作ります。下総醤油は国産原料(丸大豆、小麦、塩)のみを使い、伝統の木桶仕込みで作られる天然醸造醤油。ゲランドの塩はフランスブルターニュ地方のゲランド塩田で塩職人の手で作られる伝統製法の塩。それに繊維質が少なく柔らかい日高昆布と旨みの強い鯖節という具合に、こだわりの原材料を使用。それぞれの旨みエキスがじっくりと抽出されたかえしが、ラーメンスープのもう一つの味の骨格となります。
技のポイント4

真空低温調理で仕込んだ柔らかくジューシーな三種類のチャーシュー

チャーシューにはフランス産の豚バラ肉と背ロース肉、鶏ムネ肉の三種類の肉を使い、煮るのではなく真空低温調理で仕込んでいるため、しっとりジューシーな仕上がりになっています。豚バラ肉は生ベーコンの状態で仕入れているので塩味と薫香がついています。背ロース肉と鶏ムネ肉は砂糖、塩、みじん切りのニンニクを振ってオリーブオイルでマリネしたものを真空パックしています。肉の旨みをキープできるように下味に使う砂糖と塩の分量は合わせて肉の重量の4%にしています。柔らかくジューシーに仕上げるために鶏ムネ肉は1時間60℃、豚バラ肉と背ロース肉は10時間65℃に保った状態で加熱します。美味しく召し上がっていただけるようにオーダーが入ったらその都度温めて盛りつけます。
オススメメニュー1
卓 たく 800円(税抜)
卵入りの細麺に、かえしと、それとは別に下総醤油、ゲランドの塩を混ぜたものを加え、フォンドボーを加えたスープを注いだ醤油味のラーメンです。上にはミックスネギと豚バラ肉、背ロース肉、鶏ムネ肉の三種類のチャーシュー、茹で小松菜がのります。あっさりとした中にも麺や一途の強みであるフォンドボーベースのスープの旨みが一番わかるオススメの逸品です。お子様からご年配の方まで幅広い年齢層からご支持を得ています。
 
オススメメニュー2
アンリ 800円(税抜)
自家製欧風カレーにかえし、柚子酢、カレースパイス油、フォンドボーを混ぜ合わせたスープで食べるまぜそばです。上に醤油と砂糖で味付けした豚肉そぼろ、サニーレタスなどをミックスしたサラダ、ネギ、ポーチドエッグ、刻みのりがのります。食べるときに白醤油で味付けしたポーチドエッグ「天使の味玉」を崩して混ぜればまろやかな味に。麺は中太麺を使っています。
オススメメニュー3
利 とし 800円(税抜)
自家製欧風カレーにこちらは塩ダレを合わせ、最後に生クリームを入れて攪拌させて空気を抱き込んだスープを注ぎます。上に豚バラ肉、背ロース肉、鶏ムネ肉の三種類のチャーシューと茹で小松菜をのせています。麺は卵入りの細麺です。カレーの香りが爽やかで泡立てたスープはマイルドな口あたり。女性に人気のクリーミーなラーメンです。
  • お店紹介
    仲田一途さん(右)は株式会社氣絆の代表取締役として、またフード・コンダクターとしても活躍中。西川卓哉さん(左)は、仲田さんが目黒雅叙園時代の部下。仲田さんと一緒に「麺や一途」の立ち上げに参加。仲田さんの右腕となってメニュー開発も担っています。
     「麺や一途」はフレンチ出身のシェフが作るラーメン店として、食激戦区・武蔵小山でも不動の地位を誇る異色のラーメン屋です。ご主人の仲田一途さんは辻調理師専門学校を卒業後、フランス料理の名店マキシム・ド・パリなどで修業を重ね、目黒雅叙園においては西洋料理部門の総料理長を10年以上務めました。その仲田さんが5年前、一念発起して始めたのがラーメン屋「麺や一途」です。「ラーメン屋で働いたことはない」というご本人が作るラーメンは、フレンチの基本、フォンドボーをベースに、かえしで味の骨格を作り、商品によって異なる味を重ねて作る独創的なもの。「ベースのスープがあって、そこに味を入れていくことで何種類もの味が生まれるというのは、フレンチと同じ考え方なんです」と言います。確かにどのラーメンにも共通するのが、しっかりした骨格あってこその優しく深い味わいです。臭みや必要以上の脂っぽさがなく、男女を問わず子供やお年寄りからも支持されるというのも納得です。実際に女性客も多く、カップルがデートに使うことも多いとか。また予約すれば個室でフレンチのコース料理が食べられるというのもこの店ならでは。メニューにはラーメン以外に、鶏モモ肉のコンフィなどお酒との相性がよいフレンチの小皿料理も並んでいます。それに合わせてワインやシャンパン、スパークリングワインなどを3,500円から9,000円までのリーズナブルなお値段で取り揃えています。もちろんビールをはじめカクテル、焼酎、日本酒も。フレンチの技が光る小皿料理でお酒を楽しみつつ、ラーメンで〆るという使い方ができる店です。
  • 基本情報

    店名 麺や一途
    住所 東京都品川区小山2-17-30
    電話 03-6426-8428
    営業時間
    平日  11:30〜15:00  18:00〜22:00 
    土日祝 11:30〜22:00
    定休日

    年中無休

    席数

    カウンター11席、個室1室4名〜8名

    主な客層

    女性客が5割近い

    予算の目安 昼 900~1,000円 夜900~1,000円
    フレンチコース(事前予約制) 昼 3,000円~ 夜 5,000円~10,000円 
    (メニュー内容、価格は応相談
    開業 2013年
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