【四川料理】神楽坂 芝蘭

  1. (東京都/新宿区)

個性的な飲食店がひしめく街、東京・神楽坂の一角に開業して10年余り。四川料理店「神楽坂 芝蘭」は、本場の食の伝統を大切に守りながら、現地の新しい流れや日本の旬の食材を積極的に取り入れ、独自のメニューを提供し続けているお店です。特に看板メニューの「四川ダック」は、特製中の特製メニュー。中国四川省成都の専門店の味を忠実に再現しています。
クローズアップメニュー

芝蘭特製 四川ダック 2,800円(税込)

本来の料理名は「張烤鴨(ジャンカオヤー)」。このメニューを専門的に扱い料理名をそのまま店名にしている四川省成都のお店が「張烤鴨」。その味に惚れ込んだ「芝蘭」のオーナーたちが現地の味を特別に日本に持ち込んだ、ここでしか食べられない一品。皮付きのアヒル肉に自家製の味噌と香味野菜を詰め、表面に飴を塗って専用の釜でロースト。これをカットして、丁寧に仕込んだ特製スープで軽く煮る。味つけは意外にマイルドで深いコクが特徴。スープを飲みながら、豆モヤシやパクチー(通常は別皿で提供)と一緒に食べる。芝蘭でのメニュー名は、日本人にわかりやすいように「四川ダック」と名づけた。
技のポイント1
 
 

スパイスを効かせたスープを作る

四川ダック専用のスープは、焼いたアヒルのガラ、鶏ガラ、豚のゲンコツ、香味野菜、炒めたトウバンジャン、香り油などを入れて炊いたところに、さまざまな香辛料を加えたもの。一度に20ℓほどつくり、缶などに移して保管しておく。
技のポイント2

茶系のスパイスでコクを、白系のスパイスで清涼感を出す

特製スープに入れるスパイスは14種類。写真はその一部で、右側のホァジャオ(花椒)から時計回りに、サーレン(砂仁)、ソウゴウ(草果)、ケイヒ、真ん中のハッカク、クローブ。これら茶系のものは主にコクを出すために用いる。シャンマオ(香茅;レモングラスの一種)、ローレル、フェンネル、バイコウ(白蔻)、カンゾウ(甘草)など白系のものは清涼感を出すために使う。
技のポイント3
 
  

飴を薄く塗ったアヒル肉を特製釜で香ばしく焼く

アヒル肉は新鮮なうちに内臓を取り除き油通しする。お腹に自家製味噌と香味野菜を詰めたら、表面に飴を薄めに塗る。その日の湿度などを加味して30〜40分乾燥させ、専用の釜の中に吊り下げて、強火で表を5分、裏を5分焼き、火を弱めて30分焼いたら、火を消して15分置いてこうばしく焼き上げる。
  
  

 

技のポイント4
 
 

ヤーツァイと香辛料でスープの味と香りを整える

中華鍋でヤーツァイの漬け物(青菜を醤油、味噌、塩、香辛料で漬けたもの)をから煎りし、上記の特製スープを加えて煮立たせる。このヤーツァイによってスープの味と香りがほぼ決まる。ここに豆モヤシを入れてさっと火を通したら、いったんスープから上げる。次にカットしたアヒル肉(胸、もも組み合わせ)を入れる。豆モヤシ、アヒル肉ともに煮るというより温める程度にとどめたほうが、それぞれシャキシャキ、ジューシーに仕上がる。肉を取り出したところに擦り下ろしニンニク、サンショウ油、塩、コショウを加えてスープの味を整える。器に豆モヤシとアヒル肉を盛り、スープをかける。別皿でパクチーを添えて出来上がり。
おすすめメニュー1

ムキエビの四川式チリソース 2,000円(税込)

エビはブラックタイガーを用い、あらかじめ油通ししておく。四川式ではケチャップは使わず、ニンニク、ショウガ、トウバンジャン、あらかじめ酒・醤油・テンメンジャンで薄めに下味をつけた豚ひき肉、香味野菜(ネギ、ピーマン、セロリ)、四川ダックでも使用したヤーツァイ、生のトウガラシを漬け汁に漬けて発酵させたポウラージョウ(泡辣椒)を叩いたものなどで味つけする。これらを炒めて香りを出したところにエビを入れ、ガラスープ、紹興酒、醤油、砂糖、うま味調味料、トウバンジャンを炒めた油などを入れて味を整える。

おすすめメニュー2

本場四川麻婆豆腐 1,800円(税込)

絹に近いやわらかい木綿豆腐は特注。これをカットして塩茹ですることでうま味を閉じ込めるとともに煮崩れを防ぐ。茹でながらしっかり温めておくと煮る時間が短縮でき、さらに煮崩れを予防できる。中華鍋に大豆油を熱し、ニンニク、トウチ、トウバンジャンを入れ、あらかじめ酒・醤油・テンメンジャンで薄めに下味をつけた豚ひき肉、紹興酒、微量の醤油、コショウで調味。から煎りしたトウガラシとサンショウ(赤・青)を粉末にして温めた油をかけた調味料、フーラーフェン(煳辣粉)で辛味、コク、苦味をプラス。火を止めてからサンショウ油を加えれば完成だ。ランチタイムには、基本の「麻婆豆腐」、国産のサンショウをかけた「陳麻婆豆腐」、四川で買い付けたサンショウをかけた「頂天麻婆豆腐」の3種を提供している。
おすすめメニュー3

本場四川のホイコウロウ 2,000円(税込)

味つけの基本はトウバンジャンとトウチ。中華鍋に大豆油を熱し、ニンニク、トウバンジャン、トウチを炒め、ボイルした豚ばら肉、ネギ、キャベツ、ピーマンなどの野菜を入れる。さらにガラスープ、トウバンジャンを炒めた油、醤油、砂糖などを入れて味を整える。砂糖は甘味をつけるというより、全体にまるみをつけるために少量使う。濃いめのタレを具材にまとわせるイメージで、スープを煮詰めながら炒めて具材に味をしみ込ませるのがポイントだ。
  • お店紹介

    「本場の味をゆっくり楽しんでいただければうれしいです」と話す店長の加藤一人さん(左)と料理長の江崎祐弥さん


    「神楽坂 芝蘭」は、料理人仲間である大野静男さん、下風慎二さん、渡辺嘉朗さんの3名が、共同経営のかたちでオープンさせた本格四川料理店だ。3名は皆ベテランシェフで、大野さんは神奈川・相模原に、下風さんは東京・赤塚に、渡辺さんは千葉・松戸に、それぞれ地域性に合ったお店を展開していた。ここ「神楽坂 芝蘭」では、本場に伝わる古典通りの味を提供することをコンセプトとしている。オーナーたちは毎年、自ら四川省成都に出向き、基本の調理法やレシピの歴史を確認しつつ、新しいメニューや流行をキャッチすることに努めている。このときには現地でしか手に入らない食材や香辛料の調達も行う。

     「本場で教わってきた古典料理をそのまま再現することにこだわっています。オーナーは教わってきた料理を厨房でつくりながら日本の料理長に伝えます」と店長の加藤一人さんが説明する。
     一方、古典料理以外の新しいメニューを提供する際には、料理長の個性を生かす。たとえば豚肉を干して熟成させるときの熟成期間などは、歴代料理長によってかなり差があったという。シェフ歴12年で、6年前から「芝蘭」に勤務する現在の料理長・江崎拓弥さんは、スパイスの使い方などでオリジナリティーを発揮している。
     メニュー同様、内装にも成都を思わせる演出が光る。アイボリーとダークブラウンを基調としたモダンな店内の中央には現地で購入した大きな白い壷のオブジェを配置。その周囲を囲むように円卓を配し、ソファやベンチシートなどくつろげるタイプのイスを並べている。半個室のガラス戸には笹を頬張るパンダが描かれている。
     現在、姉妹店が東京・豊洲、同赤塚、千葉・市川、北海道・札幌にある。今後も立地を吟味しながら、その地域に合わせた新しいコンセプトの店舗を増やしていく予定とのこと。どこにどんなお店がオープンするのか楽しみである。
  • 基本情報

    店名 神楽坂 芝蘭
    住所 東京都新宿区神楽坂3-1-2F
    電話 03-5225-3225
    営業時間

    ランチ 11:00~15:00(L.O. 14:30) ディナー 17:00~23:00(L.O. 22:00)

    定休日

    年末年始を除き無休

    席数

    55席

    主な客層
    ランチ 学生、ビジネスパーソン、
    近隣住民など幅広い
    ディナー 30〜50代のビジネスパーソンがメイン
    1日の客数

    ランチ 100人
    ディナー 30人

    予算の目安 ランチ 1,300円
    ディナー 7,000円
    開業 2008年12月
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。