【中国料理】陳麻婆豆腐 赤坂アークヒルズ店

東京都/港区

本格中華を謳う料理店は数々ありますが、中でも「陳麻婆豆腐」は、麻婆豆腐を考案した陳さんというお婆さんが1862年に中国四川省成都に開いた「陳興盛飯舗」をルーツとする現地の老舗を本店とし、厨房に立つシェフは長年四川省で修行したベテランだけで固めている、まさに本物を提供するお店です。陳お婆さんのレシピを今に伝える一皿を、赤坂アークヒルズ店に訪ねました。
 
クローズアップメニュー


陳麻婆豆腐 1,330円(税込)
麻婆豆腐の生みの親のレシピで作る元祖麻婆豆腐。麻婆豆腐の条件である唐辛子の辛さ、「辣(ラー)」と、四川山椒のしびれ、「麻(マー)」が一体化。辛味は強いが単純な辛さではなく、うま味やコク、豆腐の原料である大豆の風味も十分に楽しめる、熱々の一品だ。調理工程は、中華鍋に白絞油を熱し、味つけした牛ひき肉を炒め、合わせた香辛料、ほかのメニューでも使っている基本のゲンコツスープ、豆腐、葉ニンニクの順に入れ、最後に味を整えるというシンプルなもの。それでもランチタイムにはシェフが一人、麻婆豆腐に専念しなければならないほどの人気メニューとなっている。
技のポイント1

独自にブレンドした豆板醤が味の決め手

陳麻婆豆腐の味のベースとなる豆板醤は特製で、四川省成都の郊外にある郫県(ピーシェン)という地域から仕入れる熟成の進んだ高級豆板醤と、比較的若く熟成の浅い四川豆板醤とをオリジナルの比率でブレンドしている。前者は深いコクを持ち辛味に丸みがあるのが特徴だが、色が濃い茶色。そこで赤味が強くとがった辛さと強い塩味を持つ後者を混ぜることで味と色をバランスよく仕上げている。若い豆板醤をミックスすることは、コスト面でも有効だ。
技のポイント2

挽きたてがおいしい山椒はペッパーミルに入れて卓上で提供

味つけに用いる香辛料などは豆板醤(写真手前右端)のほかに、(写真手前左から)甘味とコクのある朝天辣椒(チョウテンラージャオ)の一味唐辛子、おろしニンニク、うま味とコクの濃い四川地方の豆鼓、(写真奥左から)山椒、山椒油、葉ニンニク。山椒はペッパーミルに入れて卓上に常備し、挽きたてを好みで使ってもらっている。山椒油は白絞油に山椒を入れて炊いたもので化粧油として使う。
技のポイント3

 

事前に仕込みを行うことで調理時間を短縮

看板料理ということもあって次々に注文が入るが、事前にまとまった量の牛ひき肉を炒めて甜麺醤、醤油、紹興酒で味つけしておく(左写真)、特製豆板醤、一味唐辛子、おろしニンニク、豆鼓を炒めて合わせておく(右写真)、といった仕込みをしておくことで調理のスピードアップを図っている。
技のポイント4
 

国産丸大豆と天然にがりで作った豆腐を芯まで温めてから使用

豆腐は、タレの味に負けない大豆の味の強いタイプを採用。豆乳が多めに使われており、木綿豆腐ではあるが舌触りがなめらかで絹ごし豆腐に近い。これを塩ゆですることで豆腐の芯まで温めると同時に、余分な水分を抜いて豆腐に弾力をつけてから使用している。
オススメメニュー1

本場四川省のタンタン麺 500円(税込)

四川省成都ではタンタン麺は主食ではなくおやつ。小腹がすいたときに小さめの入れ物に麺とタレを入れてもらって食べるのが習慣だったという。「陳麻婆豆腐」ではこれを再現し、ご飯茶碗で提供している。タレは醤油ベースで、山椒油、ゴマ油、練りゴマ、黒酢、うま味調味料などで調味し、麺にからみやすいようにスープで少しのばして器に入れる。次に茹でた中華麺(極細)を入れ、最後にヤーツァイの漬け物(青菜を醤油、味噌、塩、香辛料で漬けたもの)と一緒に炒めた豚ひき肉や刻みネギなどをトッピングし、高熱の白絞油に一味唐辛子を漬けた自家製ラー油をかけた。
オススメメニュー2
フカヒレ四川スープ 880円(税込)
さまざまな料理で使用するゲンコツスープをベースに、黒コショウ、黒酢、醤油、塩で味つけた酸っぱくて辛いスープ(サンラータン)に、ほぐしたフカヒレ、カニ肉、卵を入れた一品。丸みのある器に盛り、自家製ラー油(タンタン麺参照)を水玉模様のようにたらして提供。このかわいらしい見た目も人気の秘密。
オススメメニュー3
鐘さんの水ぎょうざ(2個) 300円(税込)
伝統的なレシピを採用しており、具は豚ひき肉のみ、ひき肉の味つけもシンプルに塩のみ。これをもっちりした皮で包みボイルした。タレは中国醤油、砂糖、八角、桂皮、ローレルなどの香辛料を合わせて煮詰めたもの。
 
  • お店紹介

    15坪の専門店の時代から日本での「陳麻婆豆腐」の発展に尽くしてきた(株)F・B・D取締役部長の星淳哉さん

    「陳麻婆豆腐」は2000年12月、お台場に完成したばかりだった商業施設内のわずか15坪のスペースに、麻婆豆腐専門店として開業した。
    「当社はそれまで一般的な中国料理店を経営していたのですが、当時のオーナーには、麻婆豆腐専門店を出したいという強い思いがありました。しかし、すでに東京には有名オーナーシェフによる専門店ができて注目を浴びていたので、選ばれるお店になるには本物を出すしかないと考えました。そこで中国四川省に足を運び、陳お婆さんのレシピを守り続けているお店と根気よく交渉し、苦労の末、正式に日本支店になる契約を結ぶことができ、レシピを教えてもらえたのです」と言うのは、「陳麻婆豆腐」の立ち上げ責任者を務め、現在は(株)F・B・D取締役部長の星淳哉さんだ。
    「陳麻婆豆腐」では、いまでもそうだが、日本人に合わせてマイルドにするといったアレンジをまったくしていないため、最初は「辛過ぎる」と苦情が来たこともあったという。それでも、麻婆豆腐が好きな人、好奇心旺盛な人などに支えられながら発展してきた。
     現在は東京都内、横浜、名古屋などに7店舗を構える。東急プラザ赤坂店は2001年、地下1階に四川料理レストランとしてオープンし、2009年、現在の2階フロアへの移転を機に、個室を設け、宴会対応にも着手。赤坂アークヒルズ店はその流れにあり、店内には高級感が漂う。本物の味を、落ち着いた環境で楽しめるお店だ。
    「四川料理は辛い料理だと思われている方々がまだまだ多いと思いますが、実はバラエティに富んでいて、味つけにメリハリがあるのが特徴です。四川料理の多彩さをさらに多くの人に楽しんでいただければ」と星さん。
     今後もコンセプトが明確なオフィスビルなどへの出店を考えている。また、デパートやスーパーの四川フェアや各種イベントへの出店オファーも多い。陳麻婆豆腐の味は、日本各地にじわじわと浸透し続けている。
  • 基本情報

    店名 陳麻婆豆腐 赤坂アークヒルズ店
    住所 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル2F
    電話 050-3467-4151
    営業時間 月〜金 ランチ 11:00~15:00 ディナー 15:00~23:00(L.O. 21:50) 土・日・祝 11:00~22:00(L.O.21:00)
    定休日

    無休

    席数

    66席

    主な客層
    ランチ 周辺で働く人
    ディナー 正面にあるコンサートホールの観客、周辺で働く人、団体客など
    予算の目安 ランチ 1200円~
    ディナー 2000〜3000円
    1日の客数 ランチ 300人
    ディナー 日によってさまざま
    開業 2012年9月
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
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