【洋菓子】パティスリー 1904 ディズ ヌフ ソン キャトル

東京都/目黒区

焼き菓子は手軽なおやつとして人気のうえ、日持ちがするのでギフトにも重宝します。そこで今回は、「パティスリー 1904 ディズ ヌフ ソン キャトル」の焼き菓子で一番人気の「ガレットオランジェ」をピックアップ。「詰め合わせにした時、焼き菓子は地味になりがちなので、華やかなものを作りたい」と考案されたそうです。オレンジのコンフィとチョコレートを身にまとった、香りも華やかな一品です。
 
クローズアップメニュー


ガレットオランジェ 1個330円 (税込)
パート・シュクレ(サブレ)にクレームダマンド(アーモンドクリーム)、輪切りのオレンジコンフィを重ね、オレンジコンフィの表面にオレンジリキュールを塗って、半身にチョコレートをコーティングした焼き菓子。スイート(写真手前)、ミルク(写真奥)、ホワイト(写真中央左)の3種類があり、それぞれのチョコレートに合わせて、コンフィに塗るリキュールを変えています。ダークな味わいのスイートにはしっかりしたボディのグランマルニエ、ミルクには香り豊かなコアントロー、ホワイトにはビターなマンダリン ナポレオンを使用。またスイートとホワイトにはクラッシュしたピスタチオ、ミルクにはカカオニブを散らしています。クレームダマンドがしっとりとして、アーモンドの風味が立ち、パート・シュクレの軽やかな食感がいいアクセントに。オレンジコンフィの甘味と皮のほろ苦さとチョコレートのコクとのバランスも絶妙です。
技のポイント1
 

加える材料の順番を変えることで混ぜやすく滑らかに仕上げます

土台となるパート・シュクレ作りからスタート。材料は写真の手前左から時計回りに無塩バター、アーモンドプードル、卵、薄力粉、グラニュー糖です。卵は「那須御養卵」を使用しています。黄身の色が濃く栄養価が高いうえ、コクと甘味が強いのが特長です。
常温に戻した無塩バターを泡だて器で柔らかくしておきます。そこへグラニュー糖を加え、さらにこの段階でアーモンドプードルも投入。本来アーモンドプードルは、バターとグラニュー糖に卵を加えた後で、小麦粉と一緒にふるいにかけて入れるのが一般的。あえて卵を加える前に入れるのは、粉の量を増やすことで液状の卵との配合のバランスがとれるから。卵がなじみやすくなり、攪拌しても分離しづらくなるので、滑らかに混ぜ合わせることができます。
 
 
まんべんなく合わせたら、溶き卵を3回くらいに分けて少しずつ加えていきます。卵が均等になじむまでしっかり混ぜてから、次の卵を加えるのがポイント。
薄力粉も2回に分けて入れ、カードで切るように混ぜます。写真のようにぽろぽろした状態まで混ぜたら一つにまとめ、ラップに包んで冷蔵庫で最低1時間は寝かせます。少量の場合はもっと混ぜてから寝かせてもいいとのことですが、量が多い時はきっちり混ぜてしまうと、寝かせた生地が固まりすぎてしまい、扱いにくくなるそうです。

 
寝かせておいた生地に打ち粉をし、約2mmの厚さまで伸ばします。生地にピケローラーで細かい穴を空け、直径5cmの丸型で抜きます。オーブンの天板にシリコン製のネットを敷き、その上に抜いた生地を並べ、170℃のオーブンで約12分焼けばパート・シュクレの出来上がり。シリコン製のネットを敷くことで、天板から生地が浮くので、余分な油が落ちてサクッと軽い口当たりに仕上がります。
技のポイント2
 

卵黄をたっぷり使った濃厚で贅沢なクレームダマンド作り

クレームダマンド作りは、まず常温に戻した無塩バターを柔らかくしたところへ、グラニュー糖を混ぜ、卵を加えていきます。通常加えるのは全卵のみですが、このクレームダマンドは全卵だけでなく、さらに卵黄もプラス。全卵2個に対し、卵黄5個分とたっぷり入ります。それもパート・シュクレ同様、「那須御養卵」を使用。濃厚な味わいに仕上げるのが狙いです。全卵と卵黄を軽く溶き、数回に分けて少しずつ混ぜ合わせます。全体が白っぽくなったら卵を加え、白っぽくなったらまた加える……を繰り返します。できるだけこまめに、辛抱強く混ぜ合わせるのがコツです。
アーモンドプードルとコーンスターチを加えて、なじむまでしっかり泡だて器で混ぜます。滑らかな状態になったら、冷蔵庫で1時間以上寝かせます。
 
シリコン製の焼型にパート・シュクレを敷き、常温に戻したクレームダマンドを絞り出します。再び170℃のオーブンで、約12分焼き上げます。表面がきれいなきつね色になっているのが焼き上がりの目安です。
焼き上がったクレームダマンドの上にオレンジのコンフィを載せ、170度のオーブンでさらに3分ほど焼きます。軽く焼くのは、オレンジのコンフィを生地に接着させるため。「ガレットオランジェ」には、「スイート」「ミルク」「ホワイト」がありますが、ここから仕上げまでは、ダークチョコレートを使った「スイート」のレシピとなります。オレンジのコンフィの表面にグランマルニエを塗ります。アルコールを飛ばして、グランマルニエの豊潤な風味を引き出すため、まだ熱いうちに塗るのがポイントです。また、糖分が残るので、艶も出てきます。
 
技のポイント3

 
 

温度管理を徹底して、チョコレートの艶出しと口当たりをよくします

いよいよ仕上げのチョコレートコーティング。ダークチョコレートを加熱して溶かし、42~43℃まで上がったら、火から下して氷水で冷やします。27℃まで下がったところで、再び火にかけて、30℃まで上げます。この間、焦げ付いたり、固まったりしないよう、ひたすらヘラを動かし続けることが重要。温度管理も、温度計でこまめに計測しながら正確に。この工程をていねいに行うことで、チョコレートに艶が生まれ、滑らかな口当たりになります。
すぐに固まらない適温の30℃にしたチョコレートを、本体の半分だけにつけて刻んだピスタチオを散らせば完成。
オススメメニュー1

スペシャルショート 600円 (税込)

イチゴ、マンゴー、メロン、ブルーベリーと層ごとにフルーツが1種類ずつサンドされた贅沢なショートケーキ。生クリームは甘さ控えめでくどくなく、また軽すぎないよう3種類の生クリームをバランス良く配合しています。スポンジケーキも、食感や味わいがフルーツやクリームと違和感なく絡み合うよう試行錯誤の末、通常より薄めできめ細かい仕上がりに。しっとりしながら軽い口どけのスポンジと共に、ミルクの味わいが濃厚な生クリームがスッととろけていき、フルーツの酸味を優しく包み込んで一体感を生んでいます。1層ごと食べたり4層まとめて食べてみたり、フルーツの組み合わせで風味の変化が楽しめる飽きの来ない味わいです。
オススメメニュー2
モンブラン 550円 (税込)
マロンクリームには濃厚で香り高い仕上がりにするため、3種類のフランス産マロンペーストを使用。その下には、生クリームやカスタードクリーム、刻んだフランス産マロンが隠れています。土台は、サクッとして口の中でホロホロと崩れる“サクホロ”な食感がたまらないパータ・フォンセ(タルト)。バターが効いた香ばしい風味で、濃厚なマロンクリームを絶妙な加減でアシストしています。生クリームやカスタードクリームも、コクがあるのにあっさりした甘さで、マロンの旨味を際立たせています。9~12月の季節限定で登場する「和栗のモンブラン」550円(税込)もおすすめ。
オススメメニュー3
しまなみレモンケーキ 1個230円 (税込)
瀬戸内海に浮かぶ愛媛の岩城島で、太陽をいっぱいに浴びて育まれたレモンの果汁を使ったレモン型の焼き菓子。香り豊かで酸味がまろやかなレモン果汁を生地に加えて焼き上げ、上部をレモン風味のホワイトチョコレートでコーティングしています。甘すぎないので、レモンの香りや味わいをしっかり感じられる一品です。フワフワでしっとりしたケーキをほおばると、爽やかなレモンの風味が弾けるように広がります。冷やすのもおすすめ。ケーキがよりしっとり、チョコレートもパリパリになって後を引きます。
 
  • お店紹介
    「店名はコンセプトにつながる1900年代初頭の工業化の時代からきています。数字のほうが記憶に残りやすいというのもありますが(笑)」とオーナーシェフの松野 明さん。
     東急田園都市線・池尻大橋駅から徒歩約7分、閑静な住宅街にポツンとあるシックな佇まいのパティスリー。駅からも繁華街からも少し離れているのに、お客さんが絶えない人気店です。売場の奥にある工房は、間に仕切りのない広いオープンキッチン。菓子作りに勤しむ職人さんたちの姿を見ることができ、そのライブ感に菓子作りに対する真摯な姿勢や自信がうかがえます。
    オーナーシェフの松野 明さんは、日本菓子専門学校を卒業後、横浜の「浜志゛まん」を始めとする洋菓子店3軒で修業を積み、銀座や新宿にある「ル・ブラン」のシェフを務め、2005年に「パティスリー 1904 ディズ ヌフ ソン キャトル」をオープンしました。お店のコンセプトは、「アルチザン(職人)とインダストリアル(工業生産)の融合」。真逆のような2つの融合をコンセプトにする理由について、松野さんは次のように語っています。「工業製品や機械の持つ“ハードでシャープな美しさ”にとても魅力を感じます。それは合理性のある形や機能美だからです。そうした美しさに、素材が本来持っている能力を追求する姿勢がうかがえます。この店において菓子作りの基本である“この味ゆえに生まれてくる形”に通じるものがあります。職人も素材の持ち味を十分に引き出すことが努めです。よりおいしく食べていただくために試行錯誤は怠らない。その結果、合理的な意味を持つものだけに削ぎ落とし、職人の経験と感覚によるアレンジを加えることで、新たな形を生み出すことができるのだと考えています」
     こだわりの素材や素材同士の相性を吟味し、職人の手仕事を活かした菓子は、奇をてらわず親しみやすいものばかり。生菓子が常時20~25種類あり、焼き菓子やコンフィチュールなども充実しています。黒を基調とした内装はスタイリッシュで無駄がなく、どちらかというと男性的。それもあってか、スイーツ男子の支持も高いお店です。
  • 基本情報


    店名 パティスリー 1904 ディズ ヌフ ソン キャトル
    住所 東京都目黒区東山2-5-8
    電話 03-3792-1904
    営業時間 10:00~19:00
    定休日

    火曜日、第1・3月曜日 ※祝日の場合は翌日

    席数

    6席

    主な客層 30代の主婦層、3割は30~50代の男性、カフェは20代女性が多い
    予算の目安 テイクアウトは2,000円前後、カフェは1,000円程度
    開業 2005年2月
    HP http://patisserie1904.com/
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
  •