【ラーメン】東京スタイルみそらーめん ど・みそ京橋本店

(東京都/中央区)

“味噌ラーメンは札幌”と言われていた15年前に、敢えて“東京スタイル”を打ち出した「東京スタイルみそらーめん ど・みそ」は今や、東京を代表する味噌ラーメン店です。人気の理由は江戸甘味噌を採用した味噌ダレをはじめ香味油、スープ、麺、具材に至るまで随所にこだわりが詰まった独自の味にあります。京橋本店は東京メトロ銀座線京橋駅・有楽町線銀座一丁目駅より徒歩2分のビジネス街に立地。近隣のサラリーマンはもちろん、「東京に行ったら絶対食べたい」と考える旅行客も大勢来店します。11席のカウンターのみの営業で1日300人集客する繁盛店「東京スタイルみそらーめん ど・みそ」(以下「ど・みそ」)に、味作りの秘訣をうかがいました。

 

 
クローズアップメニュー


特みそこってりらーめん 930円(税込)
季節を問わず来店客の8-9割が食べるという「特みそこってりらーめん」は、オリジナルの味噌ダレと調味料、香味油、背脂をスープで溶いたコク深い濃厚スープに、もちもち食感の中太平打ち縮れ麺がよく絡む食べ応えのあるらーめんです。トッピングは自家製チャーシュー、鮮度の良さを物語るこだわりシャキシャキ食感のもやし、コーン、香り高く厚みのある佐賀県産海苔と茹で卵。どんぶりに味噌ダレ、スパイス香る調味料と香味油、背脂を入れたあとにスープを注ぎ、ホイッパーでよく混ぜ合わせることで味噌の味と香りを最大限に活かしています。味噌の風味が活きたまろやかで濃厚な味と、あとから感じるスパイスの爽やかな香りとのバランスの良さに、病みつきになるファンが多いのも頷けます。なお、同じ値段で背脂の入らない「特みそらーめん」も提供しています。
 
技のポイント1
 

 

コクがあり旨みたっぷりのスープは丁寧に仕込んだ二種類のスープをブレンド

スープは鶏と豚がベースの動物系スープと和だしを合わせています。動物系スープは一回の仕込みに鶏ガラ10kg、もみじ5kg、豚足5kg、豚骨5kg、豚の背ガラ5kgを使用。ネギ、ショウガ、ニンニクも加えて水から炊いて6時間ほど。白濁するまで炊いたら寸胴に移し替えます。和だしは昆布、椎茸、鯖節、鰹節、宗田節を一晩水につけ、中火で炊いてから引いたものを動物系スープに足して基本のスープとします。1日300杯出る冬場には、容量160リットルの寸胴で作ったスープを1日で使い切ってしまいます。
 
技のポイント2

 

 

5種類の味噌をブレンドした味噌ダレと特製香味油が味の決め手

味の決め手となる味噌ダレは信州味噌、仙台味噌、八丁味噌、豆味噌に、江戸時代から東京で親しまれてきた江戸甘味噌をブレンド。江戸甘味噌の特徴は大豆の香味と麹の甘みが混然一体となった独特の甘みにありますが、今では作る蔵も少なくなっているそうです。北海道の味噌ラーメンが白っぽいのに対し、「ど・みそ」のスープが茶褐色なのもこの江戸甘味噌が使われているから。「30回以上試作を重ねてたどり着きました」と齋藤さんが語る味噌ダレは複雑で深みのある味わいが特徴的です。
もう一つ、味の決め手となる香味油はニンニク、ショウガ、オイスターソース、豆板醤などにオイルを加えてミキサーにかけ、仕上げに煮干しの粉と山椒粉を加えて混ぜ合わせます。ニンニクは青森県田子産、オイルはピーナッツオイル2に対し純正胡麻油1を合わせたものを使うなど、原価よりおいしさ重視の素材を使用。ニンニクと生姜は粉砕しきらずに、食べたときに細かな片を噛んで感じる味わいを大切にしています。また香味油は時間を置くと香りが飛んでしまうため、営業中でも無くなりそうになったら小まめに作っているとか。濃厚であると同時にキレの良さも感じさせる味の秘訣がここにあります。
 
技のポイント3

 
 

特注麺は香りのよい国産小麦2種にタピオカ粉をブレンドしたもちもちとした食感

麺は開店後1年ほどしてから多くのラーメン職人が信頼を寄せる製麺所「浅草開化楼」の麺職人と相談しながら作ってもらった特注麺です。材料は香りのよい国産小麦2種類にタピオカ粉をブレンド。国産小麦+タピオカ粉だから生まれるもちもち食感の中太平打ち縮れ麺は、濃厚なスープによく絡んで麺そのものの味も楽しめます。ラーメンのゆで時間はその日の麺の状態に合わせて3分半~4分。つけ麺も含め店で提供するすべてのメニューにこの麺を使っています。
 
技のポイント4



国産生肉で作るチャーシューは注文ごとに切り出すことでおいしさをキープ

国産の生豚バラ肉を薄口醤油、酒、砂糖、みりんに漬けこみ、最後に濃い口醤油を加えて3~4時間ほど炊いて作ります。味噌スープの塩味とのバランスを考え、チャーシューの味つけは控え目なのが特徴。チャーシューはせっかくのおいしさを損なわないよう、切り置きせずに注文が入るごとにスライサーで3.5mmにスライスして使います。1本1㎏弱のチャーシューは京橋本店だけで1日17本ほど消費し、店内で販売もしています。

 
オススメメニュー1
みそオロチョンらーめん 1,000円(税込)
北海道名物「オロチョンの火祭り」をイメージした旨辛味のらーめんです。「特みそこってりらーめん」をベースに、一味唐辛子他をブレンドした辛みダレを加えた味わいは、ただ辛いだけでなくコクも旨みもある奥深さを感じさせます。トッピングはたっぷりのもやしとニラ、スープで煮込んだ挽き肉、糸唐辛子、茹で卵。辛さは「普通」「激辛」「ファイヤー」の三段階から選ぶことができ、さらに辛い刺激を求める人向けに超激辛の「メガファイヤー(1,400円)」も提供しています。
 
オススメメニュー2
みそカレーらーめん 1,000円(税込)
「特みそこってりらーめん」をベースに独自配合のカレー粉を加えています。トッピングは「みそオロチョンらーめん」と同じく、たっぷりのもやしとニラ、スープで煮込んだ挽肉、糸唐辛子、茹で卵。味噌のコクと旨味によく合う爽やかな辛さが特徴ですが、飲み干せるほどまろやかなスープの味は味噌とカレーの好相性をあらためて感じさせてくれます。
 
オススメメニュー3
チャーシュー丼 350円(税込)
角切りにしてバーナーで炙った香ばしいチャーシューをご飯が見えないくらいたっぷり盛って、バター、ニンニク、山椒の入った甘辛ダレをかけ、葱と胡麻をトッピング。ご飯にはあきたこまちを使用。ふっくら炊き上げたご飯と自家製チャーシューとのボリュームたっぷりの組み合わせが人気のサイドメニューです。
 
  • お店紹介
    札幌名物味噌ラーメンとは一線を画す東京スタイルの味噌ラーメンを開発し、いまや都内に10店舗、千葉に1店舗、青森県五所川原に1店舗の直営店を構える繁盛店「東京スタイルみそらーめん ど・みそ」
     
    年中無休の店にはお客がひっきりなしに来店し、ランチ時には4.5回転するという人気ぶりです。オーナーの齋藤賢治さんはラーメン好きが嵩じて15年前、大手証券会社のシステムエンジニアからまったくの異業種ラーメン業界に転身しました。開業にあたってのコンセプトは「東京スタイルのおいしい味噌ラーメン」です。スープはじっくり煮出した動物系スープに和だしをブレンド。味の根幹となる味噌には今では珍しくなった江戸甘味噌を含む5種類の味噌を合わせ、加える調味料や香味油にも独自のレシピを開発しました。「味については甘い白味噌ベースの札幌に対し、塩味があって複雑な味の赤味噌ベースを打ち出し、作り方についても札幌は中華鍋に味噌とス―プを入れて熱々に温めてどんぶりに注ぎますが、味噌は沸騰させると香りが飛んでしまうので、当店ではどんぶりに予め味噌ダレ、調味料、香味油を入れ、そこに沸いたスープを注いでよく混ぜ合わせて“東京スタイル”としました」と齋藤さん。しかし開店から9か月ほどは毎日50食くらいしか出ずに閑古鳥が鳴いていたそうで、営業の傍ら味噌ダレ、香味油、スープの改良を重ね、今の完成形にたどり着くには3年ほどかかったと言います。「試行錯誤を繰り返しながら味を追求した結果、原価率も上がってしまいましたが、競合が激しいラーメン業界でお客様の支持を得るには全てにおいて最善最良のものを出さなければいけないと考えています」。「ど・みそ」では国産小麦の麺をはじめ、チャーシューに国産生の豚肉、香味油に青森田子産ニンニク、トッピングに佐賀県産海苔、ご飯にあきたこまちと、味にこだわって原価の高い国産のものを使用している以外にも、ピッチャーの飲み水には備長炭を入れ、店のクレンリネスにも気を配っています。ラーメンの味はもとより、随所に繁盛店だからこそのポリシーを感じさせてくれる店です。
  • 基本情報


    店名 東京スタイルみそらーめん ど・みそ京橋本店
    住所 東京都中央区京橋3-4-3 千成ビル1F
    電話 03-6904-3700
    営業時間 月~金
    11:00~23:00(L.O.22:30)
    土・日・祝日
    11:00~21:30(L.O.21:00)
    定休日

    席数

    11席

    主な客層 20~40代の男女
    予算の目安 780円~
    開業 2006年3月
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。