【中国料理】中国意境菜 白燕(バイエン)

(東京都/台東区)

東京・上野駅から地下鉄でひとつ目、浅草に近い稲荷町駅徒歩1分のビルの2階に昨年秋に開店した「中国意境菜 白燕」。都内有名店ほか、香港と北京でも修業を積んだシェフの中国料理は、中国各地の伝統料理や現代的な感覚を取り入れたオリジナリティあふれる逸品で、中華の技法を駆使して作り出す味の確かさに定評があります。ランチで提供される看板メニュー「名物 魚介スープのワンタン麺」の味の秘密をうかがいました。
 

 
クローズアップメニュー


名物 魚介スープのワンタン麺  1,200円(税込)
魚のアラを素揚げして強火で炊いたスープにアサリのうま味と、かくし味のエバミルクのコクが加わったスープでいただくワンタン麺です。中国上海の魚介を炊いた魚湯(ユイタン)を基本に、さらにエバミルクを加えたのは北京ダックを食べ終えたあとの骨スープにエバミルクが入っていたという北京での経験から。ランチで提供しやすいよう、麺とワンタンを入れた麺メニューに仕立てました。魚介の旨味たっぷりのクリーミーなスープにもちもちの麺がよく絡み、ワンタンと一緒に食べると満足感でいっぱいになります。香味油での味変も楽しみのひとつ。他では決して味わえないワンタン麺を目指して遠方からもお客がやって来るという人気メニューです。平日ランチと休日ワンタン麺ランチ(税込1,500円)の他、夜もリクエストすればプラス500円でハーフサイズが提供されています。
 
技のポイント1
 

ベースとなるスープは、白身魚のアラを油で素揚げして、ネギ、ショウガを加えてじっくり煮込んだ魚の白湯

旨味を出して臭みをなくすためにタイやヒラメなどの白身魚をよく洗い、白絞油でこんがりと素揚げします。一回の仕込みに1~2kgのアラを揚げますが、油の温度が下がらないよう、ひと切れずつ揚げるのがポイント。ネギとショウガの皮も焦がさない程度に揚げておき、揚げた魚のアラ、白粒コショウと共に寸胴に入れて水を注ぎ、しっかりと旨味を骨から出すために強火で5~6時間炊いて、スープの量が最初の1/5程度になったらベースの完成です。
 
技のポイント2

 

旨味と香りを加えるためにアサリを入れ、仕上げにエバミルクを加えることで魚介の臭みを取り除きクリーミーな味わいに

オーダーが入ったら、ベースのスープを1人前ずつ小鍋に入れ、魚湯とはまた違う旨味を足すためにアサリも加えて沸かします。アサリの口が開いたらエバミルクを加え、塩、チキンパウダー、こしょうなどで味を調えます。エバミルクを入れることで魚介の臭みを消し、コクのあるクリーミーなスープに仕上がります。
 
技のポイント3

 
 

自家製ワンタンと福建省の岩海苔をトッピング

アサリを取り除き、スープだけを濾して器に注ぎ入れ、茹で上げた麺とワンタン、岩海苔、さっと湯通ししたロメインレタスをのせ、ネギ油を回しかけて完成です。麺はスープによく絡むもっちりとした食感の卵麺を1人前130g投入。豚肉の入ったワンタンはつるりとした食感の食べやすい大きさです。岩海苔は中国・福建省産のもので日本の板海苔より厚みがあり、スープに溶けると魚介のうま味に海の香りがプラスされます。

技のポイント4


香味油を添えて、お好みで味変を楽しんでもらう
魚介スープのワンタン麺には、自家製の香味油が添えられます。香味油はランチでも提供している「よだれ鶏」のタレにニンニクを加えた爽やかな辛みが特徴的で、クリーミーでコクのある魚介スープに刺激をプラスしてくれます。途中で味を変化させたり、ワンタンにつけて食べたりと、自由に楽しんでいただいています。
 
オススメメニュー1
りんご飴 (コースの一部)
夜のコース料理の最初に供されるひと口サイズの料理は、お祭りのりんご飴からは想像もつかない味で、まさにアミューズ(お楽しみ)に相応しい一品。中は飴だきした胡桃を包んだ滑らかな舌触りのフォアグラ。それを赤ワインとハイビスカスでコーティングしているので甘みの中にほんのり酸味も感じられます。フォアグラはジャスミン茶葉で薫香をつけたあとに紹興酒に漬けてあり、カリッと香ばしい胡桃と一緒に食べると、ほのかな薫香と紹興酒の味が楽しめます。食前酒にも合う印象深いアミューズです。
 
オススメメニュー2
季節の薬膳スープ (コースの一部)
食事で体調を整える中医学の知恵を盛り込んだ壺蒸し薬膳スープです。豚の内腿、丸鶏、金華ハム、干し貝柱、棗を10時間ほど炊いてクリアなスープを作り、それを濾して基本のスープとし、そこに季節に合わせた薬効が期待できる食材を入れて、2~3時間じっくり蒸したスープを提供しています。撮影した冬季は風邪対策として肺機能を高める豚の肺、免疫力を高める白きくらげと春筍、血液の循環を良くする生姜、棗を加えた薬膳スープが提供されました。おいしくて身体にも良い薬膳スープはほぼ1か月ごとに内容が変わり、夜のコースと休日ランチのコースに組み込まれています。
 
オススメメニュー3
海老の山東風煮込み
北京料理の原型と言われる山東省の伝統的な料理「油燜大蝦」です。この料理の特徴は、調味料を極力少なくしてシンプルに海老のおいしさを味わう点にあります。決め手となるのが海老の殻を油に浸してゆっくり火を通して作った香ばしい自家製蝦油です。この蝦油を熱して大ぶりの海老の皮目をパリッと焼き、ネギ、生姜、塩、醤油、紹興酒と水を入れて蓋をして、半分量になるまで煮詰めた汁を海老に絡めて仕上げます。リクエストがあれば、夜のコースのサブメイン料理としてプラス800円で提供しています。
 
  • お店紹介
    「高級食材を使うだけが中国料理ではなくて、どんな素材でも技術を駆使しておいしい料理に昇華させる中華の神髄を大切にしたいです」と語るシェフの白岩勝也さん。
     
    シェフの白岩勝也さんは調理師専門学校を卒業後、東京・六本木「ホテルグランドハイアット」、「JASMIN広尾本店」などで腕を磨き、本場香港と北京でも修業をされている若手実力派料理人です。階段を上がった2階の店は白と青色をベースとしたすっきりとした内装と、中国で買ってきたという食器に若いセンスが光ります。店の名「中国意境菜」は料理、インテリア、店の中を流れる空気にも中国を感じて欲しいとの思いで名づけられました。ひとりで厨房を担う現在、アラカルトメニューは置かずにランチはセットメニューとコース、夜は9品で構成されるシェフのお任せコース(税抜4,500円)のみを提供。ほぼ月替わりで内容ががらりと変わる夜のコースでは、これまで学んだ中国各地の伝統料理に自分なりの解釈を加えた料理が思う存分味わえると好評を得ています。ランチは平日限定の名物魚介スープのワンタン麺の他、4種類が選べるセットメニュー(税込1,200円)と季節の薬膳スープが組み込まれたセットメニュー(税込2,000円)以外に、デザートもついたランチコース(税込3,000円)もあり、近隣に勤めるサラリーマンや地元住民、浅草に来る観光客などに人気です。また休日限定ランチ(税込1,500円~3,500円)ではフカヒレご飯も含む、幅広い選択肢があります。ドリンクメニューはビールの他、紹興酒は甕出し紹興酒(グラス600円)など9種類を揃え、中国ワインもボトル提供しています。景徳鎮の大皿が飾られた個室は6人用なのですが、2人からでも利用可能とか。落ち着いた雰囲気でじっくり料理を味わいたいというカップルやグループによく利用されています。本格中国料理を畏まらずに楽しめる使い勝手の良い店として、ますます人気が出ること間違いなしです。
  • 基本情報


    店名 中国意境菜 白燕BAIYAN
    住所 東京都台東区元浅草2-7-10オルタンシアIV2F
    電話 03-6284-4588
    営業時間 火~日、祝日、祝前日:
    11:30~15:00 (料理L.O. 14:00 ドリンクL.O. 14:00) 17:30~22:00 (料理L.O. 21:00 ドリンクL.O. 21:00)
    定休日

    月曜日

    席数

    23席

    主な客層 30代後半~50代 サラリーマン近隣住民ほか、夜はグループやカップルも
    予算の目安 ランチ1,200円~
    ディナー4,500円~
    開業 2019年9月8日
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。