【台湾料理】状元郷

(神奈川県/横浜市)

横浜中華街では、四大中華(上海・広東・北京・四川)をはじめとする中国各地の料理が提供されています。なかでも台湾料理は、庶民的な親しみやすい味に加えて、近年の台湾ブームも加わって、さまざまな料理やスイーツが注目されています。「状元郷(じょうげんきょう)」は2011年、横浜中華街の市場通りにオープンした台湾料理店です。小皿で提供される前菜類や、バラエティ豊かな一品料理、ランチで人気のご飯物や麺類など、幅広いメニューを揃えています。台湾出身の店主が腕を振るい、多くのファンを魅了している味の秘訣についてお話を伺いました。

 
クローズアップメニュー


台湾パイコー飯 1,000円(税抜)
アルミの弁当箱に入った台湾パイコー飯は状元郷の看板メニューのひとつ。パイコー飯は台湾でおなじみの屋台料理で、駅弁の定番メニューでもあります。蓋付きの弁当箱は台湾の学生たちが実際に使っているもので、店主自ら現地で買い付けてきたそうです。パイコー(排骨)は、下味をつけて揚げた豚の骨付あばら肉のこと。注文を受けてから揚げるパイコーは、クリスピーな衣としっかりした味付けで、ご飯が進むこと請け合い。手をかけて丁寧に作られた味わいと、フォトジェニックな盛り付けで人気を誇るメニューです。
 
技のポイント1
 

台湾の揚げ料理には欠かせない地瓜粉

豚の骨付肉を切って肉たたきで叩いて柔らかくし、醤油、砂糖、生姜、ねぎ、にんにく、酒(台湾米酒)、ごま油で味付け、粉をふって2日ほど寝かせる。粉は台湾産の地瓜粉(さつまいもでん粉)を使用する。地瓜粉を使うことで、サクサクした仕上がりになる。
 
技のポイント2

 

しっかりと粉をつけて、二度揚げでクリスピーに

注文を受けたら、味付けをした骨付肉に揚げ粉をつける。肉全体にまんべんなく粉をつけ、さらに押し付けてしっかりと剥がれないように衣をまとわせてから揚げる。衣がきつね色に色づいたら一旦油から上げ、二度揚げしてカラッと仕上げる。
 
技のポイント3

  

揚げたてを手早く弁当箱に入れてテーブルへ

肉を二度揚げする間に、弁当箱にごはんを詰め、ルーロー飯(魯肉飯)* のタレ少々をかけて高菜炒めと茹でた小松菜をのせる。揚げたてのパイコーは骨の部分を切り分け、残りを食べやすい大きさに切り、ごはんにのせて供する。
*ルーロー飯は、小さくサイコロ状に刻んだ豚肉を八角や五香粉を効かせて甘辛く煮込み、ごはんにかけて食べる料理。
 
オススメメニュー1
パクチー餃子 600円(税抜)
状元郷の人気メニューのひとつ。大ぶりで厚みのある皮、たっぷりと具が入った餃子は、焼き餃子と水餃子から好みの調理法を選べます。皮は注文して作ってもらっている特別製。餃子の餡は、粗挽きの国産豚肉とキャベツ、パクチーに、醤油、オイスターソースなどで味付けをしています。豚肉とキャベツがバランス良く入っているので重くなり過ぎず、あっさりとした味わいです。
 
オススメメニュー2
セロリと干し豆腐の炒め 1,300円(税抜)
干し豆腐は、日本ではあまり馴染みがありませんが、台湾や中国では「干豆腐(カントウフ)」と呼ばれる一般的な食材です。硬めの豆腐を圧縮・脱水しているので押し豆腐とも呼ばれ、密度が高く歯ごたえのある独特の食感が特徴。この干し豆腐を拍子木切りにしてセロリや豚肉と炒め、醤油、白胡椒、ごま油、ねぎ油などでしっかり味付けした一品です。
状元郷には干し豆腐の冷菜もありますが、こちらは異なる種類の干し豆腐を使っており、麺のように細く刻んで野菜と和えた、さっぱりとした前菜です。
 
オススメメニュー3
担仔麺(タンツーメン) 800円(税抜)
台湾屋台の定番麺料理として知られる、担仔麺。ご当地では、飯碗ほどの小さな器で提供されます。麺の上に乗っているのは、ルーロー飯やパイコー飯で使っている甘辛く煮込んだ豚肉「魯肉(ルーロー)」。さっぱりとしたスープにもっちりとした麺、スパイスが効いた魯肉を混ぜて食べると箸が止まらないおいしさです。
 
  • お店紹介

    「中華料理はすべての料理に細かい下ごしらえが必要で、仕込みに時間がかかります」と語る蔡さん。

     
    「状元郷」の店主、蔡 佩玲(さい ぺいりん)さんは台湾出身。5歳の時に家族で日本に移住しました。以前は横浜中華街の大通りで、料理人であるお父さんと共に別の店を経営していましたが、「台湾らしい料理を出したい」と考えて市場通りに「状元郷」を出店。台湾屋台の味にこだわって、現地の味を再現するよう心がけているそうです。今も親戚の多くが台湾に在住、頻繁に当地を訪れる蔡さん。その都度、屋台料理の味を確認して、「状元郷」のメニューにフィードバックしています。

    台湾料理というと、カジュアルな小皿料理が多く手軽に食べられるイメージですが、下ごしらえには手間と時間がかかります。今回紹介した「セロリと干し豆腐の炒め」も、同じサイズに切り揃えた具材(干し豆腐、セロリ、豚肉、長ねぎ、赤ピーマン)をそれぞれ一度素揚げにしたのちに、合わせて炒め、味付けをします。「干し豆腐の冷菜」も、麺状にカットしてある既製品を使わずに手作業で細く刻む。「担仔麺」などに使う魯肉は、豚バラ肉だけでなく、刻みにくい豚皮もサイコロに切って合わせることで複雑な味わいを作り出しています。さらに、台湾産の食材や調味料を使って蔡さんが現地で食べた味を再現。人気メニュー「しじみの醤油漬け」のように空輸した食材を使っているメニューもあります。材料にこだわり、手間を惜しまず作られた料理だからこそ、多くの人を魅了してやまないのでしょう。
  • 基本情報


    店名 状元郷
    住所 神奈川県横浜市中区山下町148
    電話 045-681-2340
    営業時間 [月~金]
    11:30~15:00 17:00~23:00(L.O.22:30)
    [土・日・祝]
    11:30~23:00(L.O.22:00)
    定休日

    火曜日

    席数

    32席

    主な客層 近隣住民、観光客、目的客
    予算の目安 ランチ  ¥1,000~
    ディナー ¥2,000~¥3,000
    開業 2011年3月
    HP https://r.gnavi.co.jp/gb27100/
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
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