【洋菓子】L'EPICURIEN(レピキュリアン)

東京都/武蔵野市

モンブランと言えば、イチゴのショートケーキに並ぶ人気の高いスイーツ。日本のほとんどの洋菓子店で扱っていますが、栗の季節だけ販売する店も多く存在します。そもそもアルプス山脈のモンブランを模して造られたのが始まりで、フランスとイタリアそれぞれで発祥しました。モンブランはフランス語で「白い山」を意味し、フランス側から見た丸みのある形状が一般的です。イタリアではモンテ・ビアンコと呼ばれ、イタリアから見た山の鋭角な形に仕立てられています。フランス菓子店の「L'EPICURIEN」では、丸みのあるドーム型。陳列すると瞬く間に売れていく大人気商品で、これを求めて行列ができるほどです。
 
クローズアップメニュー


モンブラン 550円(税抜)
全面がマロンクリームで覆われていて、一見シンプルに見えますが、中にさまざまな味が隠されています。手練りパイの上にピスタチオ風味のクレーム・ムースリーヌ(バタークリーム)を絞り、エスプレッソに浸したチョコレートスポンジを乗せています。そのチョコレートスポンジを覆うように、マスカルポーネチーズをブレンドしたクレーム・シャンティイをたっぷりと重ね、クレーム・シャンティイが見えなくなるほど幾重にもマロンクリームを絞っています。マロンクリームは、和栗ペーストとフランス「アンベール社」のマロンペーストをブレンド。牛乳とブランデーで風味づけ。和栗のほっくりとした口当たりと旨味、フランス栗特有の甘味と香りが絶妙です。マスカルポーネチーズのまろやかな風味とかすかな酸味、さらにピスタチオの香ばしさが加わり、コク深い味わいになります。エスプレッソの豊かな香りとほろ苦い味が、シャープな印象を与えるいいアクセントに。それぞれの組み合わせによって、ひと口ごと変化が生まれるのも魅力です。例年は秋冬限定ですが、当面は常時販売。
 
技のポイント1

 

手練りパイは練り込みすぎず、バターと小麦粉をまだらにまとめるのがポイント

バター同士がくっつかないよう、小麦粉をまぶしながらバターをダイス状に細かく刻みます。まぶした粉ごとバターを撹拌機に入れ、さらに小麦粉を加えて攪拌。徐々にバターがポロポロと細かくなっていきます。

まだ目視できるくらいバターの形が残っているところで卵黄、水、塩を混ぜた卵液を加えて攪拌。塩を入れるのは、風味をよくするため。この生地には砂糖を入れないので、焦げつきにくいのが利点です。フルーツと共に長時間焼くタルトなどに向いています。

 
撹拌機から取り出し、手でこねてまとめていきます。練りすぎず、あくまでもざっくり。一見まんべんなく混ざり合っているようですが、バターと小麦粉がまだらになっています。混ぜすぎると生地が分離してしまったり、焼き上がりが固くなったりするので、生地をまだらにとどめておくのが重要です。さらに生地を1日以上寝かせることで、グルテンが切れてサクッとした食感を生み出します。生地にピケローラーで穴をあけ、タルト型に合わせてカット。型に乗せた生地の上にタルトストーンを敷き詰め、160℃の平窯で33分焼いて冷ましておきます。
 
技のポイント2
 

 

ピスタチオのクレーム・ムースリーヌはツヤが出るまで攪拌し、軽やかな口当たりに

続いてピスタチオのクレーム・ムースリーヌ作り。全体の味わいや香りのバランスを考え、エスプレッソやマスカルポーネチーズと相性のいいピスタチオを使います。主役のマロンクリームが加われば、複雑で奥行きのある味わいになります。クレーム・ムースリーヌは、砂糖を煮詰めたシロップを卵白に加えて仕立てるイタリアンメレンゲに、バターを加えたベーシックなクリーム。そこにピスタチオのペーストを加えて、泡立て器で攪拌します。水分と脂分が分離しないよう、乳化させるのがポイント。クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)を加えてツヤが出るまで攪拌すれば、空気をたっぷり含んだ口当たりの軽いクリームに仕上がります。



型から外した手練りパイに、ピスタチオのクレーム・ムースリーヌを絞ります。
 

エスプレッソマシーンでエスプレッソを抽出。キューブ状にカットしたアーモンド風味のチョコレートスポンジを、エスプレッソに浸します。チョコレートスポンジ全体を浸したら、すぐ上げるくらい短時間で十分です。

ピスターシュのクレーム・ムースリーヌの上に、エスプレッソに浸したチョコレートスポンジを乗せます。
 
技のポイント3

 

マスカルポーネチーズをブレンドしたクリームで、軽やかな味わいを演出

クレーム・シャンティイにもひと工夫。マスカルポーネチーズを加えて、飽きのこないあっさりしたクリームに仕立てます。「L'EPICURIEN」では、菓子によって「タカナシ乳業」の生クリームと九州「オーム乳業」の生クリームを使い分けており、モンブランには後者を使用。脂肪分35%と48%のものをブレンドし、ミルク感とコクをバランスよく表現しています。生クリームを撹拌機で6~7分立てにし、生クリーム800gに対して300gのマスカルポーネチーズを加えて攪拌。緩めに角が立ったら撹拌機から下ろし、泡立て器で攪拌していきます。やりすぎると分離するので、頃合いを見ながら注意深く行い、やや固めに仕上げます。


  
チョコレートスポンジを覆うように、マスカルポーネチーズ入りのクレーム・シャンティイをたっぷり絞ります。

技のポイント4

 

和栗とフランス産マロンを合わせて、マロンクリームを風味豊かに仕上げます

四万十川の和栗ペーストとフランス「アンベール社」のマロンペーストを、2対1の割合でブレンド。フランスのマロンペーストだけだと甘すぎるので、和栗のあっさりした味わいでバランスを取ります。風味づけにブランデーと牛乳を加えて、撹拌機で混ぜ合わせます。



しっかり混ぜ合わせたマロンクリームは、まだこの時点ではペーストのツブツブ感が残っている状態。口当たりをよくするため、丁寧に手作業で裏ごしします。

 

5つ穴の小田巻(絞り器)にマロンクリームを詰め、マスカルポーネチーズのクレーム・シャンティイから土台のパイ生地までを覆い隠すように絞ります。下のクリームが見えなくなるくらいたっぷりと絞るため、マロンクリームを3回に分けて重ねるのがポイント。最初は左から右へ、縦方向に何度も往復してマロンクリームを絞ります。そのクリームに対して斜め45度の向きで同様に端からクリームをかぶせ、2重目のクリームに対して90度の角度で端から端まで絞ります。最後に、裾の余分なクリームを取り除けば完成です。
 
オススメメニュー1

ヌガー詰合せ(6個入り) 1,030円(税抜)

フランス修業時代、本場のヌガーが口に合わず、金子さん自身がおいしいと思えるヌガーを作りたいと試行錯誤してできたスペシャリテ。ヌガーの甘味に、ハチミツがメインで使われている点が大きな特徴です。ハチミツなどの糖分を煮詰める温度や、火から上げるタイミングを見極め、卵白に加える時の温度や分量にも細かい神経を払って仕立てています。ヌガーにナッツをたっぷり混ぜてウエハースでサンドし、ひと口大にカット。優しい甘さで、まとわりつくような粘りはなく、歯切れがいいのが特長です。ナッツの香ばしさも相まって、軽やかに味わえます。フレーバーは、全5種類。写真左上から時計回りにヌガーフランボワーズ(右下も同じ)、ヌガーショコラ、ヌガーピスターシュ、ヌガーモンテリマール、ヌガーキャフェノア。フランボワーズ、ショコラ、ピスターシュには、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、アーモンドが入っています。プレーンタイプのモンテリマールには、前述のナッツにチェリーをプラス。コーヒー味のキャフェノアはクルミとヘーゼルナッツが入っています。詰合せは6個からで、バラ売りもあり、1個130円(税抜)。
 
オススメメニュー2
ボンボンショコラ 1個250~300円(税抜)
メディアや口コミなどでケーキの評判を耳にする機会が多い「L'EPICURIEN」ですが、お店の真のファンに人気が高いのがボンボンショコラ。高級クーベルチュールを使用したショコラが、常時12~13種類くらいショーケースに並んでいます。写真手前が「マリエッタ」290円(税抜)、奥左が「ムスカデ」250円(税抜)、奥右が「エピス」250円(税抜)。ひと粒一粒が均一に艶めいていて、丁寧にテンパリングされていることがわかります。「マリエッタ」は、カラメル風味のガナッシュにオレンジコンサントレ(濃縮ピューレ)を合わせたショコラ。「ムスカデ」はマロンペーストとラム酒、クラッシュしたクルミを加えたトリュフです。マロンのコクにラム酒が香り立つ大人の味わいで、クルミの香ばしさも効いています。これだけを詰め合わせるリピーターも多い一品です。「エピス」はガナッシュにセミドライイチジクと赤ワインを混ぜ合わせたショコラで、隠し味に香辛料を使用。シナモンやコショウ、塩、オレンジ、ナツメグを加えることで、イチジクや赤ワインの風味が引き立っています。

オススメメニュー3
エゴイスト 1個530円 (税抜)
チョコレートムースの中にコーヒー味のクリームを仕込み、その上に大きくカットされた洋ナシのコンポートが鎮座しています。「一般的な洋菓子(ケーキ)は、上に乗っているフルーツなどの食材が飾り程度の小さなサイズであることが多い。しかし、トッピングはただの飾りではなく、ひとつの味であることを表現したくてこの形にしました」との金子さんの言葉通り、洋ナシのコンポートはかなりの存在感。カカオの香り高く濃厚なチョコレートムースとほろ苦いコーヒーの風味が、口いっぱいに広がります。そこに洋ナシのみずみずしさが加わることで、重量感のある味わいに爽やかでさっぱりとした後味をもたらしています。飾りにとどまらない洋ナシの存在が、見た目にも味わいにもインパクトを与える一品です。
 
  • お店紹介
    「これからも自分でいいと思う製法を日々研究し続け、表現していきたいと思っています」と語るオーナーシェフパティシエの金子哲也さん

    吉祥寺にある行列が絶えない人気店として有名なフランス菓子店。オーナーシェフパティシエの金子哲也さんは、「大阪あべの 辻調理師専門学校」を卒業。当時はまだ製菓専門学校がなかったので、菓子も学べるという理由で学校を選んだそうです。そこで学んだ料理の知識や技術は、今も菓子作りに生かされているとのこと。卒業後は六本木の「ルコント」に勤め、4年後にはフランスへ渡り数カ月程研鑽を積みました。帰国してからは、2018年に惜しまれつつ閉店した「シェ・シーマ」に開業当時から勤務。尾山台の「AU BON VIEUX TEMPS(オーボン ヴュータン)」を経て再び渡仏し、2ツ星レストランでシェフパティシエを務めるなど約4年の月日をかけて修業を重ねました。そして1996年、再度の帰国後すぐに「L'EPICURIEN」を開業。
    金子さんが生み出す菓子には、フランス菓子の伝統を大事にしながら、それだけにとどまらない独自のアイデアが詰まっています。「伝統菓子でも自分なりの考えで作っています。伝統を守ることは、昔ながらの製法を継承することではなく、継承すべきは精神だと思っているからです。自身でいいと思った製法を日々研究し、こうすればよりよい商品ができると発見したら、昔の製法にとらわれず進化させていく」のだそうです。そうしたアイデンティティは、菓子に表現されています。オススメメニューで取り上げた「エゴイスト」のように、飾りも味のひとつというとらえ方も金子さんならでは。
    お店にはケーキを目当てに訪れる人が多いですが、ショーケースに整然と並ぶコンフィズリーが目を引きます。自慢のヌガーやパート・ド・フリュイ、キャラメルに、ボンボンショコラがズラリ。日持ちがするので、ギフトとしても人気を集めています。開店は12時ですが、ケーキは13時頃から随時登場。「モンブラン」をはじめ、どのケーキもショーケースに顔を出せばすぐに売れていくので、ケーキを求めるなら14時前後の早い時間帯に来店するのがおすすめ。
  • 基本情報


    店名 L'EPICURIEN
    住所 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-9-5
    電話 0422-46-6288
    営業時間 12:00~19:00
    定休日

    月~木曜日
    ※祝日の場合は翌日

    席数

    8席
    ※ただし当面喫茶は休業中

    主な客層 地元住民を中心に幅広い世代、女性の比率が高い
    予算の目安 1,000~3,000円
    開業 1996年5月
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
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