【和食】銀座 sasuga琳

東京都/中央区

銀座で注目を浴びるお店の一つが「銀座sasuga琳」。『ミシュランガイド東京』(日本ミシュランタイヤ刊)でビブグルマン(安くて美味しい店)を獲得する蕎麦・うどんの名店です。蕎麦・うどんがおいしいのはもちろんのこと、この店に来て外せないのがデザートのプリン。香ばしい香りと苦みのあるカラメルの上にそば茶のトッピングは絶妙です。今回は極上プリンの誕生秘話とその極意を店主・新井大琳さんから伺いました。
 
クローズアップメニュー


琳のプリン(イートイン540円/お持ち帰り660円)(税込)
なぜ蕎麦・うどん屋でプリンを出すようになったのか? そんな疑問に笑顔で店主・新井さんが答えてくれました。お客様に喜ばれるデザートをつくりたいと思っていた新井さん。そんな中、出会ったのが銀座八丁目にある炭火焼き&蕎麦の店「流石Le 蔵」のプリンでした。プリンなら若い人からご年配の方まで、幅広い年齢層に人気のスイーツです。ちょうど卵を使ったデザートを作りたいと思っていた新井さんは、Le 蔵の石田和仁シェフから伝授されたレシピに、さらなる改良を加え「銀座の大人のプリン」を誕生させました。お客様から「もっとカラメルに苦みを出して」などのリクエストがあり、試行錯誤の末、現在の味になりました。使っている卵はこだわりの栃木産「魔宝卵ゴールド」。卵の甘さ、カラメルの甘苦さにトッピングのそば茶の香ばしさと独特の食感が相まった極上のプリンが誕生しました。お店での注文のほか、事前予約をすればお持ち帰りも可能です。
 
技のポイント1

大人向けプリンの特徴は苦みあるカラメル

グラニュー糖と水を煮詰めてカラメルを作ります。一般的な洋菓子店だったら「焦げすぎ」と言われてしまくらい、カラメルの色が焦げ茶色になるまでじっくり煮詰めて強く苦みを出すのが特徴です。

焦がすのではなく深い苦みを出す、その絶妙な加減がプリンの味を引き立てる独特のカラメルになるのです。
出来立て熱々のカラメルをプリンの容器(プラスティック)に入れると熱で容器が溶けてしまうため、あらかじめカラメルはバットに流し込んで冷やします。固まったカラメルを割り、決められた分量をプリンの容器に移します。
 
技のポイント2

 

卵と牛乳、温度差をつけずにプリン液を作る

カラメルの次はプリン液です。三温糖に牛乳、少し多めの生クリームを入れます。牛乳臭さを取るため一煮立ちさせます。その一方で全卵、卵黄を溶いて、牛乳と混ぜる準備をします。
使っているのは栃木産「魔宝卵ゴールド」。一般的な卵と比べて卵黄の色が濃く、旨みとコクがあります。卵白は起泡性が高く、圧倒的なふんわり感が生まれます。
プリン液を作るポイントは、混ぜ合わせた牛乳と溶いた卵の温度差をつけないこと。卵は60〜80℃くらいで固まるので、熱々の牛乳とは混ぜません。そのため一煮立ちした牛乳に氷水を当てて冷やします。
溶いた卵と牛乳の温度差をなくした状態で混ぜ合わせることで、クリーミーさが増します。
 
技のポイント3

 

温度を下げすぎずに蒸す

笊で漉したプリン液を、カラメルを入れたプリン容器に流し込みます。プリン液は冷やしすぎないよう、50℃ぐらいに保って蒸し器に入れます。プリン液に急激な温度変化を加えるとプリンが分離してしまうからです。


  
蒸し器で90℃、20分間火を入れます。ある程度プリンが固まったところで蒸し器の温度を70℃に下げてさらに30分くらいじっくり火を入れます。新井さんのこだわりは、昔懐かしの固めのプリン。蕎麦屋に似合うプリンは、洋菓子店のプリンのような柔らかくてセンシティブなものではなく、ちょっと武骨な固めのプリン。そこを目指しているそうです。
 
技のポイント4



冷蔵庫で1、2日間寝かす

出来上がったプリンはしばらく常温で冷まし、それから冷蔵庫に入れて1、2日間寝かせます。その間、カラメルがプリンに馴染み、より旨みが増します。



お客様にお出しする直前にそば茶をトッピング、これで出来上がりです。

オススメメニュー1

蕎麦味噌(550円)

蕎麦屋に欠かせないメニューの一つが「蕎麦味噌」。琳の蕎麦味噌は、本店「銀座 蕎麦 流石」の味を継承しています。柚子風味のオリジナルの合わせ味噌に香ばしく、カリっとした蕎麦の実の歯ごたえがたまりません。時間が経ちすぎると蕎麦の実に水分が多く含まれ過ぎてしまうため、お客様からの注文をいただいてから味噌と実を合えています。一見、シンプルな味わいですが舐めれば舐めるほど味噌と蕎麦の実の味わいが口の中に広がっていきます。酒を呑みながら箸休めの蕎麦味噌、そして締めの蕎麦は琳の鉄板コースです。ちなみにこの蕎麦味噌は、お酒の“あて”としてはもちろんのこと、酒飲みでないお客様の中には、白米に乗せて召し上がる方もいらっしゃるそうです。
 
オススメメニュー2
さつま焼(880円)
琳の「さつま焼」は油で揚げず、焼いているのでさっぱりしていてヘルシー。さつま焼に使われているすり身は添加物や調味液などを使っていないもので、金沢から仕入れています。そのすり身にニンジン、玉ねぎ、長ねぎ、そしてたっぷりの生姜、季節によってはアスパラガスなども入れて混ざ合わせ、焼き上げます。割り醤油をつけていただきます。すり身の甘味、生姜の辛み、醤油の味わいが一つになって、口の中に絶妙なマリアージュが広がります。

オススメメニュー3
村越シャモロックの炒り焼き(1720円)
新井さんの地元・青森発の一流ブランドとして飲食業界に君臨するのが「シャモロック」。青森の畜産試験場が20年もの歳月をかけ、シャモとプリマスロックを交配させた高品質の地鶏です。数ある畜産農家の中で新井さんが惚れ込んだのが「村越のプレミアムシャモロック」。オーナーの村越正和氏が運営する養鶏所を訪れた新井さんは、あまりの奇麗さ、臭いのなさに驚きを隠せなかったと言います。村越さんがどれほど丹精込めて鶏を育てているかを目の当たりにした新井さんは、村越さんから直接仕入れるようになりました。その素材のおいしさを存分に生かしたのが「村越シャモロックの炒り焼き」です。甘辛い江戸風の醤油味に炒ったシャモロックに、同じく青森の一味唐辛子をトッピングし少しピリ辛に。生姜、みょうが、かいわれ大根、ねぎ、大葉を合えた薬味を甘辛い鶏肉と合わせていただくと、さっぱりとした薬味が肉の味を一層引き立ててくれます。
 
  • お店紹介

    店主 新井大琳さん

    「銀座 sasuga琳」の店主・新井大琳さんはもともと蕎麦職人を目指していたわけではなかったそうです。青森の高校を卒業した新井さんは、なにか商売をやりたいと思い、飲食の世界に飛びこみました。最初に就職したのが地元の蕎麦屋で、そこから料理人としての人生がスタート。本格的に蕎麦を学ぶためにいくつか修業場を変え、30歳のとき、さらなるスキルアップを目指して上京しました。国立にある「エコール辻東京 日本料理専門カレッジ」で日本料理(割烹)の基礎を学び直し、卒業後は「日本料理 松下」にて修業。その後、縁があって「銀座 蕎麦 流石」に修業の場を移し、店長を任されることとなりました。2013年10月、流石から暖簾分けという形で独立。店名を「銀座 sasuga琳」と改め、現在は通をも唸らせる名店として注目されるようになりました。2017、18、19年『ミシュランガイド東京』にてビブグルマンを獲得。近年は日本橋三越本店に出店(期間限定)、浅草にある二つ星フレンチレストラン「HOMMAGE」とのコラボなど、活躍の場を広げています。
     
  • 基本情報


    店名 銀座sasuga琳
    住所 東京都中央区銀座1-19-12
    グラスゲートB1
    電話 03-3567-0188
    営業時間 平日18:00〜22:00/土日祝12:00〜17:00
    席数 14
    主な客層 平日は会社員、週末休日は家族、カップルが多い
    予算の目安 昼1,000〜3,000円/
    夜5,000〜10,000円
    開業 2013年10月
    HP https://www.ginzarin.com
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
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