【ベーカリー】Le Grenier à Pain ル・グルニエ・ア・パン 麹町店

東京都/千代田区

1990年代後半に一大ブームを引き起こし、いま再び注目されている「カヌレ」。正式名称は「カヌレ・ド・ボルドー」といい、ワインで有名なフランス・ボルドーにある女子修道院で古くから作られていた焼き菓子で、カヌレ型という小さな型を使っているのが特徴。焦げ茶色で見た目は派手ではありませんが、一口ほおばると、もっちりとした食感にバニラビーンズとラム酒の芳醇な香りが口の中に広がります。今回は、人気のブーランジェリー「ル・グルニエ・ア・パン麹町店」のカヌレをご紹介します。
 
クローズアップメニュー


カヌレ・ド・ボルドー 270円(税込)
フランスで行われたパリ・バケット・コンクールで2度優勝(2010、2015)したパリの「ル・グルニエ・ア・パン」。その日本第1号店として2013年9月「ル・グルニエ・ア・パン麹町店」がオープンしました。経営母体となる日本ガストロノミー研究所は「シェ・リュイ代官山店」をはじめ、都内で数多くの店舗を展開しています。同社社長の古﨑 義丸氏がパリのル・グルニエ・ア・パンで修業の後、その味を日本に持ち帰り、麹町店を皮切りに、アトレ恵比寿店、エキュートエディション飯田橋店をオープンさせました(2021年現在)。ル・グルニエ・ア・パンではバゲットやクロワッサンとならんで、日本ガストロノミー研究所が日本でいち早く製造・販売に着手したカヌレを販売しています。麹町店では1日最低でも50個、多いときは60~80個売れる人気商品です。男女問わず、幅広い年齢層に人気の焼き菓子で、バラ売りはもちろんのこと、お土産用の箱詰めタイプも好評です。日本ガストロノミー研究所がカヌレの製造・販売に着手したのは今から27年前の1994年、当時の工場長が知り合いのパティシエから得た情報をもとに、作り始めたそうです。ゼロからのスタート。手探り状態で、実は「こんな真っ黒い菓子、売れるの?」と半信半疑だったそうですが、試行錯誤の末、商品として大量に作れるようになり、その後も改良を加え現在に至ります。今回は日本ガストロノミー研究所の多摩川工場へ伺い、人気のカヌレの作り方をご紹介いただきました。
 
技のポイント1

牛乳は半分以上をしっかり沸かす

カヌレ生地の基となる牛乳は、まず規定の分量の半分以上をしっかり沸騰させます。ここで沸騰させないと、焼いたときカヌレ型の中で生地が暴れて型からはみ出してしまい、きれいな仕上がりになりません。牛乳は温めると膜が張ってしまうので、膜ができないようこまめにかき混ぜます。
 
技のポイント2

 


牛乳にサワークリームとバターを入れ再度沸騰させる

一度沸騰した牛乳に、サワークリームとバターを入れ再度沸騰させます。熱を加えることでサワークリーム独特のコクが生まれます。これがシェ・リュイ、そしてル・グルニエ・ア・パンのカヌレの特徴です。サワークリームとバターを入れた牛乳液に、残りの冷たい牛乳を後から加え液体の温度を下げます。
技のポイント3

 
 

生地は一晩寝かす

グラニュー糖に小麦粉(薄力粉3:強力粉1)をふるいにかけて混合します。強力粉を加えることで生地にもっちり感が生まれます。混合した粉に牛乳液、卵類を加えてホイッパーで混ぜ、最後に風味づけとしてラム酒、バニラエキストラクトを混ぜ合わせて裏ごしをします。

 

  
裏ごしした生地にラップをかけ、冷蔵庫で一晩寝かせます。一晩寝かせることで、味に深みが増すだけでなく、素材のつながりが密になり生地が落ちついて、焼き具合がきれいな仕上がりになります。
 
技のポイント4

 


上火と下火の温度を変え、オーブンで約1時間半焼く

食用油スプレーでカヌレ型の内側にまんべんなく油を吹きかけます。その後、生地を型に流し込みオーブンに入れます。上火が210℃、下火が230℃で1時間半ぐらい焼きます。上火と下火の温度を変えるのは、カヌレの上部と下部の出来上がりのタイミングを同じにするためです。日本ガストロノミー研究所のオーブンは、1度に350個のカヌレを焼くことができます。ちなみに、1日に1000個近くを焼くことも多々あるそうです(プレーンのほかにメイプル、ショコラを含む)。生地を型に流し込むと、型の内側に粉と砂糖の膜ができます。膜が型に密着した状態で1時間以上焼くので、出来上がりの表面がカヌレ独特の焦げ茶色になるのです。



実は、お店によって焼き具合を変えているとのこと。ル・グルニエ・ア・パン麹町店は、焼き色を濃いめにとの指定があるそうです。一方で、全国各地で開催される催事場などでは、焼き色を薄めにと指定されることも少なくありません。焼き具合の加減は、プロの職人ならではの腕の見せどころです。



カヌレは冷凍状態で出荷し、各店舗で解凍し店頭に並べます。店によっては店頭に並べる前に表面を温め直すところもあります。ル・グルニエ・ア・パンではプレーンのみの販売となりますが、シェ・リュイではプレーンのほかにメイプル、ショコラ味も販売しています。

オススメメニュー1

バゲット 367円(税込)

パリ・バゲット・コンクールで2度優勝したパリの本店の味を日本で再現する、というコンセプトでオープンしたル・グルニエ・ア・パン麹町店。この店の人気No.1は「バゲット」です。小麦はフランス・VIRON社の「Tradition  Francoise(トラディションフランセーズ)」を、発酵バターはフランス・イズニー社のものを使用しているのが特徴です。水にもこだわりがあり、フランスの硬水・コントレックスを使用しています。日本の水(軟水)だけでは生地が柔らかすぎて成形しづらいのですが、コントレックスを約1割混ぜることで生地に適度な締まりが出るそうです。店長・宮澤さんのおすすめの食べ方は「何もつけずにパンの味を味わってください」とのこと。パリっとしたバゲットの皮とふわもちっとしたパンの食感がたまらない一品です。焼き上がりの時間は毎日、8:30/11:00/13:30/15:00の4回。
 
オススメメニュー2
クロワッサン 270円(税込)
バゲットと並んで人気なのが「クロワッサン」。パリ本店の味を再現しておりバゲットと同様、小麦粉はVIRON社のTradition  Francoise、バターはノルマンディー地方のイズニー社のものを使用しています。「パンはシンプルな素材だからこそ、良質な素材を選んでいる」と麹町店・製パンシェフの平田さんはおっしゃっています。サクっとした食感に香ばしいバターの風味。何もつけずにそのまま味わうもよし、ジャムを塗ったり、ハムやサラミ、カマンベールチーズなどを挟んで食べるのもオススメです。クロワッサンは毎日朝8時、12時前、15時前に焼きたてが店頭に並びます。

オススメメニュー3
ショソン オ ポンム 432円(税込)
代官山のル・グルニエ・ア・パンの製菓ラボで、ル・グルニエ・ア・パンのシェフ・パティシエが作っている「ショソン オ ポンム」はフランスのアップルパイです。サクっとしたパイ生地は一口食べると口の中にバターの香りが広がります。パイ生地の中にはしっとりとした甘い自家製のリンゴのコンポートがぎっしり。コーヒーやちょっと濃いめにいれた紅茶とよく合う焼き菓子です。定番の人気商品ですが、ショソン オ ポンムは男女問わず幅広い年齢層のお客様に人気。毎週欠かさず購入される常連客もいらっしゃるほどです。
 
  • お店紹介
    日本ガストロノミー研究所 多摩川工場工場長 大沼秀樹さん

    パン、菓子作り一筋28年。代官山シェ・リュイやル・グルニエ・ア・パン麹町店をはじめ系列店舗の味を担う多摩川工場の工場長、大沼秀樹さん。多摩川工場ではシェ・リュイ、ル・グルニエ・ア・パン全店舗で販売されるカヌレを製造しています。小さいころからモノを作ることが好きだった大沼さん。最初は料理人になるつもりでしたがお菓子づくりの楽しさに目覚め、本格的に学ぶようになりました。専門学校卒業後、シェ・リュイの経営母体となる日本ガストロノミー研究所に入社。以来、28年間シェ・リュイの商品開発、製造に携わり、現在は多摩川工場の工場長を務められています。今でこそ、女の子が将来なりたい職業ベスト5に入る「お菓子屋さん」ですが、実際のところ「力仕事が多いので男性の比率が割と高いのですが、女性もお菓子の仕上げなどのポジションで大いに活躍してくれています」と笑顔で答える大沼さん。「決してラクな仕事ではありませんが、お客様に喜んでいただけるのが励みになります」とのこと。
  • 基本情報


    店名 Le Grenier à Painル・グルニエ・ア・パン 麹町店
    住所 東京都千代田区麹町1-8-8グランドメゾン麹町1F
    電話 03-3263-0184
    営業時間 平日8:0021:00/土日祝9:0020:00
    定休日

    不定休

    予算の目安 1,000〜2,000円
    開業 2013年9月
    Instagram https://www.instagram.com/grenier.
    koujimachi/?hl=ja
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
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