(東京都/港区)
浜松町駅近くにある「洋食や シェ・ノブ」は、白木を使った内装で山小屋をイメージした小さな洋食店です。老舗洋食店で「お箸で食べられる日本の洋食」を学んだオーナーシェフが、手作りにこだわった心温まる料理を提供しています。オープンキッチンのカウンターに座って、料理行程を眺めて待つのも楽しい時間。口コミサイトで「最高傑作」「完璧な味」と評された人気メニューの秘密を伺いました。
クローズアップメニュー

カニクリームコロッケ2個 1,000円(ディナー時・税込)
日替わりランチでも人気が高く、ディナータイムには1個からオーダーできるのが嬉しい看板メニューです。滑らかな口当たりのベシャメルソースにズワイガニとたっぷりのカニみそを加え、濃厚な旨味に仕上がっています。自家製のトマトソースがご飯にもマッチして、まさに「日本の洋食」と呼ぶに相応しいカニクリームコロッケです。創業から17年の間、試行錯誤を繰り返し、他にはない「洋食や シェ・ノブ」だけの特別な一品になっています。
技のポイント1




ムラなく混ぜて滑らかなベシャメルソースに
鍋にお椀1杯分の「バタールー」を入れて火にかけます。沸騰させない程度に温めた牛乳(約2/3リットル)を3回に分け入れ、その都度ムラなく練り混ぜます(カニクリームコロッケ約30個分の分量)。力を込めてしっかり混ぜることで、滑らかな口当たりのベシャメルソースに。
バタールーは、小麦粉(約1.5キロ)をバター(約250グラム)で炒めたもの。弱火で2時間くらいかけて、軽く焦がし気味になるまでじっくり炒め、水分が飛んでサラサラになったら火からおろして裏ごしします。この状態でストックして、その日に使う分だけをソースに。少し色づくくらいまで小麦粉を焦がすことで、カニの殻を焼いたような香りが付くので、カニクリームコロッケのカニ風味がより際立ちます。
技のポイント2




味の決め手はカニみそ、日本酒、レモン
スライスした玉ねぎ(3/4個分)をしんなりするくらいバターで炒めたら、カニ(130g)を入れてさらに炒め、日本酒を加えます。砂糖をひとつまみとコショウ少々で下味をつけたら、ベシャメルソースの鍋に投入。よく混ぜたのち、カニみそ(缶詰・100グラム)を加え、火にかけながらさらに混ぜ合わせ、仕上げに皮ごと刻んだレモンを入れて、全体の風味を引き締めます。
日本酒を使用することで和の風味になるだけでなく、アルコールを飛ばした日本酒の持つ甘味が残るのがポイントです。以前は缶詰のカニを使用していましたが、現在は和食などに使われる高級な冷凍ズワイカニを使っています。「カニクリームコロッケには贅沢過ぎる」と思われますが、カニの風味を追求しながらレシピを変え、現在の材料に辿り着きました。
技のポイント3




油に入れたら色づくまで触らないように
タネが冷めたら70gごとに分け、卵とドライパン粉をつけて俵型に成形、180度に熱した油に投入します。パン粉が薄かったり、箸でつついたりすると衣に穴が空いて中身が出てしまうため、たっぷりパン粉をつけてキツネ色になるまで放置することがポイント。色づいてきたら一度だけ裏返します。
自家製トマトソースをお皿に敷いて生クリームを少し垂らし、油を切ったコロッケを盛り付け。玉ねぎときゅうりのピクルス、パセリ、ゆで卵の入った自家製タルタルソースと、セルフィーユを乗せて完成です。
トマトソースは、玉ねぎと人参をラードでソテーし、小麦粉を入れてさらに炒め、トマトピューレ、トマトケチャップ、水やブイヨンを入れて伸ばして仕上げています。
オススメメニュー1

オムナポリ 1,400円(税込)
お好み焼き屋で焼きそば入りのお好み焼きを食べていて、「オムライスのご飯の代わりに、ナポリタンを入れたらどうだろう?」と思いついた新メニュー。お客様からも、美味しくて写真映えすると評判になっています。
ナポリタンは、自家製ベーコン、玉ねぎ、人参、ニンニクと茹でたパスタをケチャップで炒め、最後に少量のカイエンペッパーを入れてピリ辛の大人味に。塩、コショウと生クリームを入れた卵液を焼いてナポリタンを包み、自家製トマトソースと粉チーズをかけて完成です。
オススメメニュー2

和牛シチューハンバーグ御膳(ご飯、サラダ、スープ付き) 2,800円(税込)
ビターな味わいのシチューで煮込んだハンバーグは、和牛100%の挽き肉に、玉ねぎとパン粉を入れ、お箸でも食べられる柔らかさになっています。濃厚なシチューに絡めていただくと、思わず笑顔になってしまう美味しさ。キャベツにカレー風味のもやし、トマト、紫玉ねぎが入ったサラダと、ゆず風味の野菜スープが付いている満足度の高いセットメニューです。
シチューに使用しているデミグラスソースは、丸2日間かけて仕込み、16年間注ぎ足しで使っています。小麦粉をバターで炒めて弱火で3〜4時間かけて真っ黒に焦がし、そこに牛骨と牛スジで取ったブイヨンとフォンドボー、トマトピューレ、香味野菜、牛バラ肉を入れて一日煮込んだものを加えて、再び煮込んで漉します。味が徐々に変化しており、創業4年目くらいからコクが出てきたとのこと。
オススメメニュー3

有頭エビフライ(1尾) 750円(ディナー時・税込)
天然の有頭ブラックタイガーをサクッと揚げて、天然塩と自家製タルタルソースと共に提供しています。小麦粉とビール、卵、牛乳を混ぜて、ホットケーキのタネくらいのドロリとした「つけ衣」を使用。エビをくぐらせてから、パン粉をつけて揚げるとサクサクの衣になります。
こだわりの塩は、ミネラル成分が豊富な海洋深層水の天日塩。ふわっとした旨味や甘味の後からやわらかな塩味を感じます。
お店紹介

老舗洋食店で修行したオーナーシェフが、日本の洋食を割烹スタイルで粋に仕上げる「洋食や シェ・ノブ」。
浜松町が地元の福岡さんは、以前より浜松町界隈に美味しい店が少ないことを物足りなく感じていたそうです。今は再開発も進んでビジネス街のイメージが強い浜松町ですが、下町のような人と人との繋がりも残る場所。なるべく地元業者から材料を仕入れて地域が潤い、街全体が盛り上がることを願い日々奮闘しています。
店は角地にあるため、昼間は大きな窓から自然光がたっぷり。夜は店内にジャズが流れ、肩肘張らないでくつろげる雰囲気です。「狭い場所だけど、できるだけたくさんの人が笑って食事を楽しめる空間にしたい」と福岡さんが語るように、思い思いのスタイルで利用できるお店です。
ランチは日替わりの一種類のみで限定40食。ホームページで確認できるので、目当てのメニューを逃さないようにチェックし、早い時間の来店がオススメです。
夜はオムライスやエビフライなどの定番メニューはもちろん、ワインや日本酒などのアルコールを飲みながら、アラカルトやコース料理、季節のオススメメニューが楽しめます。人気メニューを一皿に乗せた「大人のお子様ランチプレート(オムライス、エビフライ、カニクリームコロッケ、煮込みハンバーグ、野菜スープ:3,600円)」も人気です。
仕込みから調理までを一人でこなす福岡さんですが、作り置きはせず、注文を受けてから手際良く調理し、ソースや燻製なども手作りするというこだわり。ひとつひとつ丁寧に作った料理は随所に洗練されたプロの技が感じられ、多くのお客様を魅了しています。
基本情報

店名 | 洋食や シェ・ノブ |
---|---|
住所 | 東京都港区浜松町2-7-2 大塚ビル2F |
電話 | 03-3431-7943 |
営業時間 | 11:30〜14:00 18:00〜22:30 |
定休日 | 日曜・祝日 土曜不定休 |
席数 | 12席 |
主な客層 | 近隣住民、会社員、 おひとり様 |
予算の目安 | ランチ(日替わり1種類のみ・40食限定) 1,000~1,300円 ディナー(アラカルト、コース) 3,000~5,000円 |
開業 | 2006年9月13日 |
HP | http://cheznobu.com |
オンラインショップ | https://cheznobu.theshop.jp 来店できない人のために、人気メニューのセットがオンラインショップでも購入できます。 |
※ 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。