【おでん】焼き鳥とワイン+ビストロおでん3B 神保町

(東京都/千代田区)

「本格焼き鳥、ビストロおでん、気分に合わせて選べるワイン」をメインに2021年に神保町にオープンした「焼き鳥とワイン+ビストロおでん 3B 神保町 」。予約必須の人気店です。ワインに合うと開発されたメニューのなかでも、王道「焼き鳥」に負けず劣らぬ注目を浴びているのが、「おでんだけどおでんじゃない?!」と感嘆させる「ビストロおでん」です。今回はそんな、「おでん」の概念を超え、ワインにぴったりの洋風感覚で楽しめる新感覚おでんについてお聞きしました。

クローズアップメニュー

ビストロおでん各種 手前から時計まわりに:大根 ポルチーニソース 319円、卵 スモークサーモンのアイオリ 275円、ラム肉 ケールとすだちのジュレ495円(全て税込)

ビストロおでんは、関西風に仕上げた一般的なおでん種に、それぞれの素材の味わいを活かす、フレンチやイタリアン等、洋風にアレンジしたソースをかけて提供する創作料理です。おでんの種は大根や卵、白滝、餅巾着など、定番のラインナップに加えて、季節の旬に合わせた野菜等、常時10種類ほどを用意。一品一品を皿盛りで提供しています。和と洋の絶妙な味わいが楽しめると人気です。

技のポイント1

ソースを引き立てる出汁のこだわり

「ビストロおでん」の醍醐味はおでんの具材にかかったフレンチのソースや供される洋風な味わい。そんなクリエイティブな洋風アレンジのソースを引き立てるため、あご、鰹、鯖などでじっくりととった関西風のベースの出汁はあえてシンプルに、味付けもうすめに仕上げています。毎朝仕込む出汁に、下ごしらえした具材を朝イチに入れてじっくり煮込み、味をよくしみこませます。ソースにこの和の出汁をちょっと加えるメニューも多く、ソースと具材の和洋折衷の味わいが絶妙なマリアージュ。効果的なひと工夫です。

技のポイント2

白ワインで戻したポルチーニの香り

「一人1つで」と注文の入ることの多い大根は、「月間の販売数では生ビールより出ているかもしれない」と店長が笑う「ビストロおでん」の大人気メニュー。出汁がしみた大根にクリーミーなポルチーニソースをかけて供される一品です。

ソースは白ワインで戻した乾燥のポルチーニをフードプロセッサーで粉砕。独自にブレンドしたオリーブオイルとたっぷりのバターをしっかり焦がしたらポルチーニを入れて香りが立つようじっくり炒め、そこに刻んだマッシュルームを加えてさらに炒めます。

ニンニクで香り付けしてさらに炒めたら、ポルチーニの戻し汁を入れてまた煮込み、生クリームをたっぷり注ぎ十分に煮詰めていきます。これでソースが出来上がり。これを、水煮後、出汁でしっかり煮込んだ大根の上面にかけて提供します。シンプルな味わいの大根がポルチーニの香りあふれるクリーミーなソース で、こくのある美味しさに。

技のポイント3

ケールの香りと人参の食感+すだちの爽やかさ

ベースとなる具材のラムは、水煮すること2〜3回、さらに出汁で煮て下ごしらえ。煮込むことで肉がやわらかくなり、臭みも抜けて、ラムが嫌いな人にも「美味しい!」と好評なやさしい味わいに。そんなラムにケールとすだちの爽やかさを添えるのが、ジュレのソースです。

まず、ケールをフードプロセッサーで均等になるようにみじん切り。それをブレンドのオリーブオイルで炒め、しんなりしたら、みじん切りの人参を加えてさらに炒めます。そこに出汁とすだちの生しぼりジュースを加え、ゼラチンを加えて冷蔵庫へ。

提供する際は、ラムをおでん罐で10分ほど温め、ソースをかけて。ラムのやわらかさにケールの程よい青みと人参の存在感も少し立った食感のバランスも良い一皿。

技のポイント4

完成形は提供後のお客様のテーブルで

大根とならんで人気の卵。アイオリソースに加えられたサーモンの味や燻製香のアクセントが出汁のしみた卵によく合います。たっぷりのソースに卵をのせてお客様に提供しますが、この料理の完成にはもうひと手間が必要です。それはお客様が自分で卵をくずしてざっくりとソースと混ぜること。お好みのくずし加減によって、卵とソースの調和が変化、タルタル的な味わいが楽しめます。テーブルで完成する一品です。

オススメメニュー1

炭焼き串 おまかせコース5本 1,419円(税込) 左から、鳥胸肉(わさび)、ささみ(梅)、鳥もも肉、豚バラ、しいたけ(エスカルゴバター)/薬味:左から柚子胡椒、燻製塩、炭塩、トリュフ塩、抹茶塩 *2人前から注文できます。

おでんと並ぶ、この店の核となる焼き鳥は、銘柄鳥を部位にあわせて一本ずつ手で串打ちし、備長炭でじっくり焼き上げたもの。季節に合わせて盛り合わせの内容は変わります。その時々の串に合わせ、数種類のこだわりの塩や薬味を一緒に供するスタイル。そのままで、好みに合わせて薬味や塩をつけて、と多彩に取り合わせの妙が楽しめます。

オススメメニュー2

馬場修一郎農園直送 旬の野菜の盛り合わせ 825円(税込)

静岡・富士宮の無農薬、有機肥料にこだわった馬場農園の新鮮な旬の野菜の甘さ、美味しさを味わってもらいたいと、焼きと生の両方の野菜を盛り合わせ、そのときどきのドレッシングソースやチーズとともに提供。冬は根菜がメインですが、野菜の多様性にもこだわる農園の産物だけに、種類の異なる3種の人参に赤かぶ、黒大根、ターサイと、根菜のバリエーションも豊かで彩りも華やか。写真は、岩のりにオリーブオイル、玉ねぎをあわせた岩のりのドレッシングとパルミジャーノチーズを添えて。

オススメメニュー3

ホタルイカとごぼうの白ワインマリネ 605円(税込)

一夜干しのホタルイカを白ワインで戻し、ごぼうとあわせて火に通しマリネに。仕上げに添えられたカラフルなあられの彩りとカリッとした食感が、味わいに楽しいアクセントを加えてくれます。食べ慣れた和の食材に白ワインを用いた洋のエッセンス、ホタルイカのソフトな食感とごぼうの歯ごたえの妙、お酒のアテにほどよい塩加減。人気のメニューです。

お店紹介

右:店長の武田奈波さん、 左:メニュー開発を担当した岡部光希さん

美味しいワインと料理を楽しむだけでなくお客様もお店も生産者も共に喜べるようなお店づくり

和モダンでおしゃれなバル感覚に楽しめるお店です。「気分に合わせて選べるワイン」というコンセプトのとおり、世界各国のワインを、グラスからデキャンタ、ボトルまで多彩にそして気軽に、好みに合わせて楽しめます。そんなワインに合う料理として、今回ご紹介した「ビストロおでん」をはじめ、和の食材には洋の、そして洋の食材には和のエッセンスやアクセントを加えた斬新な発想の創作料理の数々がメニューを彩ります。

「たくさんの和洋折衷を味わって頂きたいから、1品あたりのボリュームを下げ、頼みやすい価格でご用意しています」と店長の武田奈波さん。そんな数々の人気メニューの開発に携わったのは、岡部光希さん。

「創作料理に取り入れたフレンチやイタリアンのエッセンスは、ベースとなる和とのバランスが大切です。おでんも、ただ美味しいだけではソースに引っ張られてしまい、おでんがおでんではなくなってしまいます。本来の良さも活かしながら味のバランスをどうとるかが苦労のしどころでした」

そんな味へのこだわりやコンセプトに加えてお店が大切にしているのはお客様と共有する“ストーリー”。「馬場農園さんの野菜を使うこだわりも、美味しさのためはもちろん、“美味しさと安心を追求するこんな農園がある”という背景のストーリーもあわせてお客様に提供しているといった感じでしょうか。フードロスを防ぐために作られた“天然すだちの生しぼりジュース”はドリンクにも使っていますが、美味しさと共に生産者を応援する気持ちで取り入れています。美味しさだけでなく、そんなストーリーや思いをお客様も喜んでくださるし、私たちお店も一緒に共有できるとうれしいんです」(前出:武田さん)。 「焼き鳥とワイン+ビストロおでん 3B 神保町」のドリンクやフードの美味しさと、予約必須の人気の裏側には、そんな思いやストーリーがこめられています。

基本情報

店名焼き鳥とワイン+ビストロおでん 3B 神保町
所在地東京都千代田区神田神保町1-18-10 三光ビル1F
電話番号03-6811-0388
営業時間17:00~23:00(L.O.22:30)
<日曜及び連休最終日>16:00~22:00(L.O.21:30)
※月曜日が祝日の場合、その前日の日曜日は通常営業時間
定休日なし
席数28席
主な客層20〜40代をメインに、カップル、友人同士、会社帰りの同僚等
予算の目安4,000円〜5,000円
HPhttps://3-bar.com/jinbocho/

※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。