【ラーメン】地鶏らーめん 翔鶴

(群馬県/高崎市)

群馬県で店舗を展開する「地鶏らーめん 翔鶴」はおひとり様や女性客、ファミリーからお年寄りまで老若男女でにぎわう人気のラーメン店です。中でも多くの人が目当てに訪れる「塩らーめん」は、同店の看板メニュー。県内外で腕を磨いた店主が原料を吟味し、一つひとつの工程に手間を惜しまず、丁寧に仕上げる一杯のラーメンには、翔鶴のこだわりが凝縮されています。開業から約10年で3店舗を構えるまでに成長した同店の人気の源泉をお聞きしました。

クローズアップメニュー

基本のらーめん(塩) 730円(税込)

「基本のらーめん」は塩と醤油からチョイスできますが、翔鶴といえば、やはり「塩」。地鶏の赤城鶏、銘柄鶏の新得地鶏などを使ってうまみをじっくりと引き出した、見た目にも美しいラーメンです。黄金色のスープと、自家製のツルツル、モチモチとした細麺との相性は抜群。口に入れた途端、トロトロと溶けていくような柔らかいチャーシュー、太切りメンマ……。一つひとつの素材もしっかりと存在感を放っており、リピーターが多いのも納得の一杯です。

技のポイント1

二種の地鶏と大型二枚貝が味の決め手

スープのベースとなっているのは、二種の地鶏。ひとつは地元にこだわった「赤城鶏」。もうひとつは北海道の新得地鶏で、以前は宮崎県産の地鶏を使用していましたが、新得地鶏も「スープのコク、深み、余韻や香りも抜群」とのこと。最初に、赤城鶏15kg、新得地鶏8 kgを3時間ほど炊きます。さらに、モミジ10kgは別の圧力鍋で1時間ほど火を入れて出汁を抽出。モミジのスープを加えると、一気に味が深まるそうで、これに煮干しやサバ節などの乾物類を入れて、スープを仕上げます。

一方、スープとの両輪ともいえるのが、塩ラーメンに必須の塩ダレです。この塩ダレの味の大きな決め手となるのが、市場にはあまり出回っていないため特別なルートで取り寄せている「シュウリガイ」とも呼ばれる大型の二枚貝の一種「イガイ」。大量のイガイを使って抽出したエキスに、塩や白ワイン、昆布、リンゴジュースなどを加えてタレが完成。イガイから出る魚介のエキスが塩ダレのうまみをぐんと引き立てます。 この塩ダレとスープを、塩分濃度と旨味のバランスが一番良い1対10の割合で合わせて塩らーめんスープの完成です。

技のポイント2

喉ごしや食感を大切にした、もちもち、つるつるの自家製麺

使用する自家製麺は毎日、店舗2階の製麺室で製造しています。店主が選び抜いた小麦粉に、黄身の濃い卵を贅沢に使用。つるつるとした喉ごし、もちもちとした食感の麺に仕上げるため、店主が何回も試行錯誤を繰り返して、ようやく納得できる配合にたどり着きました。喉ごしや食感の工夫は、配合だけでなく、製造工程にも見られます。急激に麺を薄くしていくと、麺の肌がざらついたり傷んだりするため、ひと工程増やし、時間をかけてゆっくり細い麺に仕上げていきます。さらに麺を2日間、寝かせて口当たりや食感を引き出しています。また、麺を茹でて湯切りをする時も、麺の表面を傷つけないよう丁寧に行うなど、すべての工程において、喉ごしや食感を大切にしています。

技のポイント3

じっくり炊いて、しっとりした味わいの手作りチャーシュー

スープや麺に続いて、存在感を放っているのが手作りチャーシューです。チャーシューは国内外の豚肉をいろいろ試した結果、赤身と脂身のバランス、炊いた時の赤身のしっとり感が味わえる肉を厳選しています。まずは豚肉の肩ロース80kgを弱火で下茹でします。この時、ぐつぐつ煮てしまうと肉がパサついてしまうため、沸騰ギリギリに保つぐらい、弱火でじっくりと炊いてくのがポイント。5時間ほど炊いた後は、温めたタレに半日ぐらい漬け込みます。タレは、醤油や塩、ショウガ、鶏スープといった基本の素材以外に、赤ワインと魚介を使っているのが特徴。赤ワインの独特の香りで、豚臭さも抜けやすくなり、魚介だしはうまみの補充にもなります。塩気が控えめの分、肉のうまみがしっかりと感じられるチャーシューは、ホロホロと溶けていくような柔らかい食感が特徴です。

オススメメニュー1

翔鶴特製らーめん 1,000円(税込)

「チャーシュー麺だと、ボリュームがありすぎる。煮卵(単品130円)を加えると割高になってしまう」というお客さんのニーズに応えて誕生したのが、特製らーめん。「基本のらーめん(塩)」に次いで人気のあるメニューで塩と醤油が選べます。特製らーめんはチャーシューを2枚、煮卵と海苔3枚を加え、いろいろな具をちょっとずつ食べたい人にぴったりの具沢山らーめん。タレの旨味と甘味がしっかりと感じられる煮卵も人気のトッピング。卵を半熟に茹でた後、チャーシューのタレをベースに、魚介出汁や砂糖を入れたタレに半日ほど漬け込んで完成です。

オススメメニュー2

ワンタン麺 1,000円(税込)

ワンタンも製麺室で作る自家製です。一般的な皮よりも厚めで大き目のワンタンが4つ入っており、食べ応えは抜群。さらに、つるつるとした食感は手作りならでは。中の具材はプリプリのエビが一尾と豚肉。最初は肉ワンタンも試したそうですが、あえてエビワンタンにしたのは、「塩らーめんにはエビが合っていたから」。塩らーめんのスープとワンタンとの絶妙なコンビネーションが楽しめる一品。ワンタン麺も塩と醤油が選べますが、塩でいただくのがおすすめです。

オススメメニュー3

ネギ辛チャー丼 330円(税込)

ご飯メニューで一番人気なのが、ネギ辛チャー丼。チャーシューの切り出しを細かくしたものに、らーめんの醤油タレとラー油をかけて混ぜ、ネギをたっぷり載せたシンプルな丼です。ポイントはネギの青い部分を入れたネギ油に一味唐辛子を入れた「自家製ラー油」。一味唐辛子を濾さないで、そのままラー油に入れているため、芳ばしい香りが楽しめます。トロトロのチャーシューをたっぷり味わえるのはもちろん、ネギとラー油のピリッとした辛さが食欲をそそります。ランチのセットにもなっているので、手軽に食べられる一品です。

お店紹介

「自分にできるのは、おいしいと言ってもらえるラーメンを作って、気持ちよく帰ってもらうことだけ」と語る店主の千田直彦さん(中央)

「ラーメンオタク」を自称する千田さん。ラーメン店で修業する傍ら、県内外のラーメン店を食べ歩いていた時、一杯の塩ラーメンと出会いました。「ガツン!と衝撃的だった塩ラーメン」の味に惚れ込んだ千田さんは、店に頼み込んで修業をスタート。計3店で腕を磨き、満を持して約10年前、前橋店をオープンしました。

最初の一ヶ月は閑古鳥が鳴いていたそうですが、地鶏を使った「塩ラーメン」が徐々に評判を呼び、客はうなぎのぼりに増加。3年後には2店舗目となる高崎店をオープン、さらに2023年3月には「道の駅まえばし赤城」に出店するほどの人気店になりました。

「塩ラーメンの難しさは、美味しさを出しづらいこと。スープやタレに美味しさを詰めていかないと、ラーメンにした時に物足りなくなるんです」と千田さん。修業した本家の味を受け継ぎつつ、パンチのある味が好きな群馬県民向けに塩分濃度を少々プラスした塩ラーメンは、多くの人を魅力しています。 店舗を増やしても、どれだけ忙しくても、変わらずに大切にしているのは、「手を抜かないこと」。麺を作り、スープを作る。麺を茹でて湯切りする。手間を惜しまず、すべての工程を丁寧に行い、多くの人に支持される一杯に仕上げています。「手を抜いたら、お客さんにはすぐに伝わってしまいます。いつも自分がお客さんの立場だったらと考えて、ラーメンを作っています」と千田さん。そんな千田さんの熱い思いは、一杯のラーメンにしっかりと映し出されています。

基本情報

店名地鶏らーめん翔鶴 高崎店
所在地群馬県高崎市棟高町2088-2
電話番号027-368-0389
営業時間11:00〜14:30 18:00〜21:45
(昼夜ともにL.O.15分前)
定休日月曜(祝日の場合は翌日)
席数27席
主な客層近隣住民、会社員、おひとり様、ファミリー
予算の目安1,000円~
開業年月日2015年7月
HPhttps://twitter.com/chizurutei
https://www.instagram.com/jidoriramensyoukaku/

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